「つらいんですけど」は
言っちゃいけない言葉だった
「皮肉だよね。敏腕上司Dさんにやり込められて、『自分たちは傷ついたんだ』と訴えたら、Dさんの首が飛んだ。Dさんも『傷ついた』はずだよ。そしてその後あてこまれたE部長も……追われるのは時間の問題ってくらいやりにくそうにしている」
加えて、部全体としては目立った業績もなく、社内の視線は厳しさを増すばかり。自分たちの職場の快適さを求めたら、これだ。
「『つらいんですけど』とか言っちゃだめだったのかな、って社員は思うよね。まわりまわって、自分たちの部門全体の首を絞めることもあるんだなぁって。我慢しないと、ゆっくりと自分たちを『傷つけ』ていることになるのかどうなのか……。いやぁ、何が正しいのかわかんないけど、仕事ってほんと、渦巻く感情でできてるよね」

と、深刻というわけでもなく笑って話すのは、彼女が既にその業界を離れているからだということは付言します。
感情でできているのに、感情の話は表向きは「なかったこと」にされたり、異動や再編などでわかりやすく「処理」されたりする。だからといって問題が消え去ったわけでもない……まったく、ヘンな場所です。
ちなみにこうしたエンゲージメントサーベイと呼ばれる職場の意識調査も、先のストレスチェック同様に、好意的、効果的だと受け止める社員は少数のようです。
ある民間人事コンサルティング会社の調べによると、6割超の社員が、回答したところで「何に生かされているかわからない」と回答し、半数近くが、やったところで「解決策が実施されていない」と指摘しています(注2)。

(注2)伊藤忠は朝型勤務を改革業務改善、起点はエンゲージメント調査:日経ビジネス電子版(nikkei.com)