管理職の上司、すなわち部長や本部長、役員たちも、そうした管理職と向き合っているのでしょうか。管理職の状況や悩みを聞いて、現場で抱えている課題を解決するためにフォローしているのでしょうか。業績を上げろ、管理を徹底しろと責めているだけになっていないでしょうか。
いろいろな調査を見ても、管理職になりたいという20代、30代が極端に減っています。実際に管理職を打診されたら約6割の社員が「断る」と明確に言っている調査結果(株式会社ビズヒッツ「管理職になりたくない理由に関する意識調査・2022年」)もあります。
また、管理職が罰ゲーム化しているという指摘もあり、共感を覚えた人も多くいるのではないでしょうか。
管理職という仕事自体が孤立し、周囲から距離を置かれ、静かなる分断が広がっている。あなたもそんなことを感じていませんか。管理職はこのままでよいのでしょうか。
負担と責任が大きいのに
まるで見合っていない給料
企業を実質的に動かしていくハブになっているのは、間違いなく管理職です。上からの方針、指示を受けて、現場の人たちを動かし、成果を出していく。それが管理職の役割だと言われる。
実際に管理職研修で、人事部長が「あなたたちはこれから会社側の人間になります。もう従業員ではないのです。その意識を持ってください」と語るケースもあります。管理職は会社中心、仕事中心でつくられてきたこれまでの会社の論理を現場に浸透させる象徴的存在ともいえます。
でもそんな管理職を見て、若手も女性も管理職になりたくないと思ってしまう。その理由を聞くと、「仕事量も負担も大き過ぎる」「残業代もなく給与が仕事に見合ってない」「自分は管理職には向かない」などの回答が返ってきます。ただ根幹にある一番大きな理由は「過度な責任を負いたくない」という気持ちです。
管理職になれば、自分だけでなくチームの業績も、部下のミスも、部下のメンタル問題も、顧客からのクレームも、すべて自分が引き受けなければならない。
それをやりがいだと思ってきた世代もいますが、今はそうした問題の頻度も難易度も高まっている。それを引き受けることのストレスの大きさ、大変さを考えると誰も背負いたくないと思うのは、当然のことなのではないでしょうか。