X halfは、「レトロ」の皮を被った最新カメラ

 デザインは縦型でも撮影結果は横長のFinePix 700とは対照的に、いかにもカメラというクラシックな外観ながら撮影結果はスマートフォンのような縦長(縦横の比率は3:2)になるX half。とりあえず、以下の本体写真を見ていただければ、X halfが正統派のカメラの外観をまとっていることが理解できるはずだ。四半世紀を経てデジタルカメラを取り巻く状況がどのように変化したかを知る上で、この対比はとても興味深い。

フィルムカメラの時代を知る人にとっては懐かしく、若い世代には逆にカセットテープやレコードのような新鮮さや本物感を感じさせるX halfの外観。ストラップは、昔使っていた本革製のものを引っ張りだしてきて装着してみた。ちなみにレンズは、レンズ付きフィルムの「写ルンです」と同等の32mm(35mm換算)固定焦点でf2.8 Photo by K.O.フィルムカメラの時代を知る人にとっては懐かしく、若い世代には逆にカセットテープやレコードのような新鮮さや本物感を感じさせるX halfの外観。ストラップは、昔使っていた本革製のものを引っ張りだしてきて装着してみた。ちなみにレンズの焦点距離は、レンズ付きフィルムの「写ルンです」と同等の32mm(35mm換算)。単焦点でf2.8 Photo by K.O.

 X halfというネーミングは、往年のハーフカメラ(35mmフィルムの1コマを縦割りした縦長のフレームで、フィルム枚数の2倍の枚数を撮影できたカメラ)を意識したもの。今やスマートフォンやチェキでの撮影は縦撮りが基本なので、特にZ世代にはデジタルカメラが縦撮りでないことのほうが不思議かもしれない。

 とはいえ、このモデルのためにわざわざ解像度が半分の撮像素子を用意するのは現実的ではない。X halfでは、有効画素数が約1774万画素の1インチ裏面照射型CMOS撮像素子を縦使いで利用し、3648x4864ピクセルの静止画(JPEG保存のみ)、または2160×1440ピクセルの動画を撮影できる(ただし、動画は1回の撮影で1分まで)。

 また、異なるアナログフィルムの雰囲気を演出できる13種のフィルムシミュレーション機能や、トイカメラや光漏れした写真のような効果を加える8種のフィルター機能も充実しており、それをフィルム確認窓のような小型のタッチスクリーンをスワイプして変更できるギミックが直感的で面白い。

シンプルな背面には、縦型のメインタッチスクリーンとフィルム確認窓のような小型のタッチスクリーンのほか、静止画/動画の切り替えスイッチ、再生ボタンしかない。他の細かな設定は、メインタッチスクリーンを上下左右にスワイプすると表示される各種メニューで行う仕様 Photo by K.O.シンプルな背面には、縦型のメインタッチスクリーンとフィルム確認窓のような小型のタッチスクリーンのほか、静止画/動画の切り替えスイッチ、再生ボタンしかない。他の細かな設定は、メインタッチスクリーンを上下左右にスワイプすると表示される各種メニューで行う仕様 Photo by K.O. 拡大画像表示
フィルムカメラモードでの撮影結果はX half本体上では確認できず、X halfアプリで「現像」することによって初めて見られようになる。現像後は、個々の写真としてだけでなくコンタクトプリント(べた焼き)としても鑑賞できる Photo by K.O.フィルムカメラモードでの撮影結果はX half本体上では確認できず、X halfアプリで「現像」することによって初めて見られようになる。現像後は、個々の写真としてだけでなくコンタクトプリント(ベタ焼き)としても鑑賞できる Photo by K.O. 拡大画像表示

 さらには、撮影結果をスマートフォンのX halfアプリで「現像」するまで確認できないフィルムカメラモードまで用意され、それをアプリ上でコンタクトシート(ベタ焼き)のようにして楽しめる仕掛けもある。このモードでは、光学ファインダーしか使えず、フィルム巻き上げレバーを操作しないと次の撮影ができないという凝りようだ。

 連写機能はないが、それも意図的なものだろう。実際に今回の旅で、このカメラにそれが必要と思う場面はなかった。