
「衝撃のバッドニュースや」
屋台で語り出した琴子
コーヒーを淹れにいったのぶは、新聞社中がのぶたちに同情の視線を向けていることに気づかない。夕刊はライバル社の土佐新報一社だけが認められ、高知新報は出すことができなくなっていた。
琴子(鳴海唯)は、のぶがもう事態を知っていると思って、のぶをやけ酒に誘う。なにも知らないのぶがコーヒーを淹れて編集室に戻ると東海林から悲報を告げられた。
屋台でやけ雑炊を啜りながら語り合うのぶと琴子(昼間なので酒は控えた)。琴子は琴子で思ったようにいかず不貞腐れていた。
「衝撃のバッドニュースや」
琴子の言うバッドニュースは新聞社には妻帯者ばかりという事実だった。結婚相手を探しに入社した彼女にはそれはショックであろう。のぶは岩清水はどうかと勧めるが、琴子は、彼は大物になりそうにないとけんもほろろ。
岩清水はこと琴子よりも、のぶのことがほんのり気になっている様子だった。その彼の気持ちは無視され勝手に琴子に振られてしまったことになる。のぶと琴子は悪気なく笑い飛ばす。酷い。
琴子は自ら甲斐甲斐しくお茶汲みなどを買って出ていたが、結婚の可能性もないのに、お茶汲みや書類整理やボタン付けなどやることが馬鹿馬鹿しくなっていた。
あっけらかんと話しているから笑い話としてスルーしてしまいそうだが、よくよく考えると酷い。そもそも猫をかぶって本心を見せず、男性を騙しているわけだから。女性にボタン付けを気軽に頼む男性も男性だし、どっちもどっちである。
のぶは結果的に琴子の愚痴を聞くことになっていた。ご飯を食べて、また取材に出かけ、戻ると発表する場もないのに原稿を書く。首をかしげる東海林に「絶望の隣は希望」と、かつて嵩(北村匠海)が絶望して線路で寝ていたときに寛(竹野内豊)から聞いた言葉を語る。
夕刊が出せないことくらい絶望のうちに入らないと前向きなのぶに、東海林は心を打たれた様子だ。のぶは夫を亡くしているし、教師を辞めるほど追い詰められたのだから、メンタルが強くなっているのだと思う。