つねに自分の安心や安全を気にかけている人にとって、どうやらアポフェニアは重要な役割があるようです。
現代でも、都会のコンクリートジャングルの外に暮らしている人はたくさんいます。彼らにとっても、アポフェニアは欠かせないものでしょう。
危険のパターンを認識できれば、逃げることも、闘うことも、生き残ることも簡単になります。一方で危険のパターンを見逃すと、他の何ものかのディナーになってしまう。
アポフェニアの傾向が強いのか、それとも弱いのかということは、文字通り生死を分けることになりかねません。
たとえば、木の葉が揺れ、鳥たちが一斉に飛び立ち、近くの茂みから土埃が上がっているのが見えたとしましょう。これらの事象を結びつけ、これはジャガーが近づいているパターンだと気づくことができなければ、あなたはジャガーのディナーです。
こう考えれば、存在しないかもしれないパターンを見ることができるのは、ギャンブルをしているときを除いては、どうやら人間にとってある種の恩恵でもあるようです。とはいえ、そのせいで現実を見る目がゆがんでしまうという可能性も、もちろんあります。
失敗の原因は運か自分か?
受け止め方で未来が変わる
アポフェニアで特に注目したいのは、統制の所在との関係です。
「統制の所在」という概念を最初に確立したのは、高名なアメリカ人心理学者のジュリアン・ロッターです。1954年のことでした。
この概念の中心にある考え方は、事象をコントロールする力が自分の中にあるか、それとも外にあるかということです。
自分でコントロールしているのか、それとも他人や周りの状況にコントロールされているのか。自分の現実を自分でコントロールしているのか、それともただ他者に振り回されているだけなのか。
1990年、ロッターは、「コントロール権は自分の中にある」という考え方について、「自分の行動によって生じる結果が、自分自身の態度や性格と一致しているとみなすこと」と説明しました。