国民の支持を得たら
実行するのは当然のこと
石破 あのときの玉木代表のお尋ねは、政府としてどうなんですかということでした。やはり、まず党としてあるべき政策というものを考え、それを受けて政府として考えるという順序ですので、政府としては実際に給付を前提としていろいろな仕組みを考えているわけではないという意味で申し上げました。
池上 それが選挙だと今度は自民党としては考えていると、こういう言い方になるわけですか?
石破 自民党として考えているということで、政府としてはそれに見合った予算案や仕組みというものを考えていかなければならないということですね。
池上 ということは、あの時点では考えていなかったけれど、今度選挙が終わったらそれを考えるということですか?
石破 もし国民のご支持をいただければ、それを実行するのが当然のことだと思います。
池上 「トランプ関税」についてもお聞きします。米国との交渉が続いていますが、相互関税を下げる、あるいは撤廃することが可能なのでしょうか。
USスチールのような
新しい日米関係のあり方へ
石破 我が国は米国に対する最大の投資国であり、最大の雇用を生み出しています。それが他の国と違うところであり、2月にホワイトハウスでトランプ大統領とずいぶん長くお話しした際にも「関税より投資だ」と申し上げました。
加えて、日本が持っている多くの技術が米国の労働力と融合することで、世界中により良い商品をもたらすことができる。このような新しい日米関係が続いてしかるべきではないかとも申し上げています。
こうした姿勢は基本的に変わりませんし、自動車産業など日本における大きな経済のウエートを占める分野では安易に妥協することはできません。
池上 トランプ大統領が、それで納得しますか?
石破 トランプ大統領がおっしゃっている「忘れられた人々」、つまり製造業に従事されてきた人たちに対する雇用増を、日本の投資がもたらし、より良いものをつくっていくんだということです。USスチールの問題についてもそうですよね。米国が一定の権限を持ち、「米国の鉄鋼会社」であることを維持しつつも、日本の資本によってより良い雇用と製品をつくっていく。
他にも、例えば米国の造船業は、著しく衰退してきました。こうした分野をはじめ、さまざまなところで日本と米国は互いの強みを生かしながら、共に世界のために価値あるものを生み出すことができるのではないか。このような新しい日米関係のあり方は、さまざまなプロジェクトに通用することだと思っています。
また、日本国内ですでに関税の影響が出始めているケースに関しては、全国に1000カ所の相談窓口を作り、どのような影響があるのかを察知して対応するよう体制を整えています。