お米の値段は下がっている
今後の政策は?

増田 再び国内の話に戻すと、石破総理は昨年11月の衆院選以来、少数与党による国会運営を余儀なくされてきました。一方で少数与党であるからこそ、国会できちんとした議論がなされ、本当の意味での政治が行われているようにも感じています。参院選では、何を一番大事にして選挙戦を戦おうと思っていらっしゃいますか。

石破 10年先、20年先、30年先と本当に我が国が国家として立ち行くことができるのか。これに尽きます。いきなり大きなことを申し上げるようですが、喫緊のコメの問題にしても、そもそも食料自給率がカロリーベースで38%しかない状況で本当に大丈夫なのか。

 政治は、そのことを根源から問うようなことをやってきませんでした。ようやく今回のコメ高騰によって、みんながそのことについて考えるようになったのです。

増田 お米の問題は非常に大きな問題としてまだ続いてますが、農林水産大臣が小泉進次郎氏になり、お米の値段が下がってきています。今後どのような政策を考えていますか。

石破 私は麻生内閣で農林水産大臣をしていた時に生産調整を見直すべきだと発言して、それは大騒ぎになりました。史上最低の農水大臣、自民党からも出入り禁止と言われたほどでしたが、この生産調整という制度は本当に公平なものなのだろうか。改めて問う必要があるでしょう。

 世界各国がこの30年から40年余りのうちに栽培面積を増やし、食糧生産を増やしてきた中で、日本だけが税金を使って生産を抑えてきたことで、農地をどんどん減らしてきた。根底にはこういう問題があります。

食糧、エネルギー、社会保障、財政…
我が国の持続可能性が問われている

池上 コメの問題で言うと、備蓄米を放出する際の契約を一般競争入札から随意契約に変更しました。まるで小泉農水大臣が言い出したかのように見られていますが、実際には石破総理が指示されたのではないですか。

石破 誰が言い出したかどうかということはさておき、やはりスピードが重視される中で随意契約という方法も選択肢としてあるのではないかという話は、議論の過程で申し上げたことはあります。

池上 小泉農水大臣に花を持たせようとしていませんか?普通ならこれはそもそも自分が言い出したんだと言って自慢してもいいようなことを、奥ゆかしいなと思ったんです。

石破 いや、それはもう「汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう、そしてその場で忘れましょう」というのが竹下登総理の教えでございますから。

 参院選に話を戻すと、コメなどの食糧だけでなくエネルギーや社会保障、財政などにおいて、これから先の我が国の持続可能性が問われています。今まで「何とかなるさ」で突き詰めて議論してこなかったことを、国民の皆さま方に問うことが重要だと私は考えています。

 併せて、それぞれの選挙区における課題は何なのか、どのように解決するのかを訴えることで、「自民党だから政治を担える」と国民の皆さまに判断していただくための選挙だと思っています。

(ジャーナリスト 池上 彰、増田ユリヤ 構成/梶原麻衣子)