10分もした頃、「ないのかな、電車が1本出てしまったから、探してください」と急かします。しかしどうしてもない。同僚も探してくれたがない。

 そこで「もう待てない」と言って、「どうしてくれるんだ。20分以上待たされた挙句ありませんはないだろう、通常どんな管理をしているのか、あんたの責任で俺が帰社の電車に乗れない可能性が出た。これも大変なことだよ。

 相手の企業に迷惑がかかる、どうしてくれる。大きな商談で、それが決裂したら大被害だ、この書店に責任を取ってもらうことになる」

 と、つじつまの合わない無関係のことを言い出し、焦って理解できない女性社員を、人目もある書籍の棚前で吊るし上げます。「どうしてくれる」を繰り返すうちに、社員が涙目になっても、攻めを緩めません。

「今度現れたら連れてこい」
カスハラ王はお客様相談室へ

 この光景を見て、他の社員が店長に救いを求めました。店長がそこまで行き声をかけます。「誰だあんたは」と言われ店長が名乗ると、「あんたは関係ないだろう、この女が『ないものをあると言って引き留め、結果なかった』ことをどう対処してくれるのか。対処出来るなら聞こう」と、そこでも圧力をかけます。

 店長は窮しましたが、私に「今度機会があったら、そのまま連れてこい」と言われていたことを思い出し、「お客様、お時間はありますか。ご足労ですが、お客様と『お話をしたい』と言う者がおりまして、よろしければお会いしていただきたいのですが」「何だ、そいつは誰だ」と怪訝な顔をして探ります。

「それが、お客様相談室の者で、『どんな迷惑をおかけしているのかお聞きしたい』と申しております」

「時間はさほどないがいいか」

「もちろんでございます」。

 10分もして4名がお客様相談室に来ました。店長と書店役員と総務担当、そしてカスハラをしたEさんです。

 私も、落ち着いた表情で応接室に通したまでは良いけれど、実は突然のことゆえ対応策は考えていませんでした。しかし、ここで片を付けなければ後に影響が残ります。