また、ハンドドリップは、コーヒー粉に一定の湯量を注ぎ続ける必要があるため、集中力も必要です。お湯を注ぐ作業に集中できれば、写経と同様、気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。
ハンドドリップでコーヒーを淹れることに慣れたら、今度はコーヒー豆を買ってきて、豆を挽くところから取り組んでみるのもおすすめです。豆から挽くとより一層香りが立ち、部屋中に広がります。ドリップサーバーにコーヒーが落ちる音や、湯気から伝わる温かさと合わさって五感が刺激され、心身がリラックスしていきます。
杏林大学の古賀良彦名誉教授の研究によれば、コーヒーのよい香りは、リラックス効果のある「α波」という脳波や、集中した際に出現する「P300」という脳波を発生させるようです。また、コーヒーの香りが持つ効果は、使用する豆の種類によって次のように変化することも、実験によりわかっています。
●グアテマラ、ブルーマウンテン:香りをかぐだけでα波が多く出現する。
●マンデリン、ハワイ・コナ、ブルーマウンテン:香りをかぐだけでP300が多く出現する。
集中したい場面やリラックスしたい場面など、機能別のシーンで豆を使い分けてみても面白いかもしれません。
時間の流れに
身を任せられる趣味を持つ
普段忙しい生活を送っている人ほど、ゆっくりと時間が流れる趣味に取り組んでみることをおすすめします。たとえば、釣りやキャンプなど、人間古来の原始的な生活に通じるものです。自然のなかでぼんやりと過ごせば、日常の雑事を忘れて頭のなかを空っぽにすることができます。
キャンプでぜひ試してほしいのが、焚き火の火を眺めることです。炎の波形には、「1/fゆらぎ」と呼ばれる、光や音、振動などに含まれる特別なリズムがあります。そして、この1/fゆらぎに触れると、リラックスしていることを示すα波が脳に多く出現する傾向があります。