前述のように、脳梗塞は脳の血管が詰まって引き起こされるが、その種類は主に3つある。
1 アテローム血栓性脳梗塞
比較的太い脳動脈や脳につながる頚動脈と呼ばれる首の血管などの血管壁にコレステロールなどを含むプラーク(沈着物)が形成され、血液の流れる血管の内腔が狭まることによって引き起こされる。中等症から重症の症状になることが多い。
2 心原性脳塞栓症
動脈硬化や心臓弁膜症などに伴う心房細動(不整脈)などの心臓病によって心臓の中に血液のよどみが生じる。そこで生じた血栓が血液の流れにのって脳の血管に到達することによって引き起こされる。重症になることが多い。
3 ラクナ梗塞
脳の深部にある穿通枝(せんつうし)という細い血管が詰まることによって引き起こされる。比較的軽症が多い。
脳卒中データバン『ク2021』(国循脳卒中データバンク2021編集委員会編、中山書店)
前兆となる「一過性脳虚血発作」
すぐに収まっても油断できない

脳梗塞では、前兆となる「一過性脳虚血発作」が起こることがある。これは、一時的に脳動脈が詰まることなどによって脳への血流が悪化し、半身の麻痺や感覚障害、言語障害、視覚障害などの症状が起こることだ。
「一過性とあるように、この症状は多くの場合数分から数十分程度で解消されますが、一時的に血流が回復したり血栓が溶けたりしただけで、脳梗塞を発症しやすい状態であることに変わりはありません。この症状が起こった場合、最初の2週間で脳梗塞を発症する危険性は10%を超えるといわれています」
次のような症状が出たり、周りの人がその症状に気づいたりしたときには、すぐに受診しよう。