いずれの治療法も脳血管を損傷する危険性があり、慎重に、しかも迅速に治療を行う必要がある。脳梗塞の治療は、急性期に症状を悪くさせないことが重要。そのためには早期の治療ほど選択肢が広がるので、発症した際には一刻も早い病院への搬送が必要だ。

脳梗塞予防の効果がある
「地中海式ダイエット」とは

 脳梗塞を予防するためには、動脈硬化が進まないよう健康を管理し、血栓を発生させないことが肝要だ。

「動脈硬化は、高血圧や糖尿病、脂質異常、高尿酸血症、メタボリックシンドロームなどによって少しずつ引き起こされます。これらの生活習慣病は自覚症状がほどんどなく、健康診断などで指摘されることによって発見される場合が多くあります。検査でこれらが見つかったら放置せず、積極的に治療を開始することが必要です」

 脳梗塞の予防に、減塩は絶対条件。塩分を過剰摂取すると、血圧が高くなり動脈硬化を引き起こしやすくなるからだ。また、ナトリウムを排出し、血圧を下げる作用があるバナナやほうれん草、大豆や牛乳などの高カリウム食を積極的に摂取するよう心がけるとよい(腎機能障害などでカリウム摂取制限を指導されている場合を除く)。

 果物や野菜、マメ科植物、全粒穀物、魚、不飽和脂肪酸(オリーブオイルなど)、少量の肉などを食生活の中心にする「地中海式ダイエット」も血圧や脂質代謝を改善する作用があり、動脈硬化を防ぎ、脳梗塞の予防に効果があるとされている。

「適度な運動は血流をよくしますが、運動などで汗を多量にかくときには脱水状態になり、血液が濃縮されて血栓が生まれる危険性が高まります。適切な水分補給が必要です。また、喫煙や多量の飲酒も動脈硬化を促進させます。日頃の生活のあり方を見直し、血栓ができないように注意しましょう」

(監修/国立循環器病研究センター副院長 豊田一則)