1日1回、朝食に
生キャベツを皿いっぱい食べる

「キャベツでも食べてみたら?」と。

 石井医師は、ピンとこなかった。キャベツは「胃に良い」というイメージがあったからだ。

「不思議に思って『キャベツが腸に良いのですか?』と質問しましたが、そのドクターは『良い』と言う。それで1日1回、朝食に生キャベツを皿いっぱい食べるようになりました」

 キャベツを食べた翌年の大腸ファイバー検査から“大腸ポリープが消えた”という。

「最初は大腸専門ドクターにも『たまたまかもしれないよ』と言われましたが、もうそれ以来20年間、ポリープはできていません」

 生キャベツを食べただけでポリープが消えた――素晴らしい効果なのだが、残念ながら科学的根拠を持ってすべての人に勧めるという点では、これだけでは弱い。大腸ポリープが大きくなるにつれ「がん」化する確率も上がるため、がん発症の観点から考えると、国立がん研究センターでは「(キャベツを含む)アブラナ科野菜の摂取量と大腸がん罹患リスクには関連が見られない」としている。

 アブラナ科の野菜にはキャベツをはじめ、大根、小松菜、ブロッコリー、白菜などが含まれ、以前から抗がん作用があるとされてきた。しかし日本人約8万8000人におけるアブラナ科野菜摂取と大腸がんリスクの間には、残念ながら統計学的に有意な関連は見られなかったのだ。

「ですが、男女共にアブラナ科野菜の摂取量が多いほど全死亡リスクが減少します」と、健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が説明する。

「国立がん研究センターの追跡研究の結果、アブラナ科野菜摂取が一番少ないグループと比較して、一番多いグループで全死亡リスクが男性では14%、女性では11%低くなっています。疾患別死亡との関連では、男性はアブラナ科野菜摂取が一番多いグループのがん死亡リスクが、女性では心疾患が低下しているのです。

 アブラナ科野菜には発がん物質を解毒するといわれるスルフォラファン(イソチオシアネート)が含まれているため、死亡リスクの低下に影響している可能性があります」