攻撃ドローンは宅配便の要領で
トラックで運搬された
しかし、軍事の専門家を名乗る人の中には、例えば「今回のドローン攻撃については、/・ロシアとウクライナは陸続きであること/・ロシアの大地は広大であること/・過去にも同様の攻撃があり、ウクライナ側の工作員が直接・間接的に浸透していること/・ウクライナには長射程兵器が少ないこと、/という要素があるわけで、日本とは状況がだいぶ違うのですよね」(稲葉義泰氏、Xでの指摘。6月2日)として、この攻撃は日本とは状況が異なるという評価をする人もいる。
同氏はウクライナの攻撃を「左翼ゲリラと性質は変わりません」と国内の左翼過激派のテロ行為と同一視している。実態をどう評価すべきだろうか。
この作戦は「クモの巣作戦」と名付けられ、1年半前から計画されていたという。ウクライナ側の説明では、数カ月をかけて数十機のドローンがひそかにロシア国内に輸送され、軍事基地近くに設置された。これらのドローンは、遠隔操作可能な蓋付きの木製コンテナにパレット積みされ、まるで宅配便の要領でトラックで運搬された。コンテナはドローン放出後に自爆するよう設計されており、トラックの運転手は積み荷の内容を知らなかったとされる。
作戦当日、これらのドローンは一斉に起動され、ロシアの防空網をかいくぐり目標に到達した。この攻撃は、ロシアの長距離航空戦力、特にウクライナの都市やインフラに対する巡航ミサイル攻撃能力に深刻な打撃を与えたとみられる。
この攻撃の技術的背景について、ドローンやAIを使った課題解決やウクライナのドローン戦術を検証する実験なども行っている民生技術の軍事転用に詳しい現代戦研究会(技術顧問)の平田知義氏は次のように解説する。
「ウクライナによる攻撃で注目すべきは、現行の軍事技術ではなく、弾薬以外は既存の民生技術という点です。事前にリンクさせておいたドローンは携帯電波からインターネットを経由して海外からでもソフトを入れたPCで遠隔操作が可能です(※)」