「アキレス腱が太い人」は
動脈硬化がかなり進行している
実は「アキレス腱が太い人」も、悪玉コレステロール値が非常に高い恐れがあります。全身の体重がかかるアキレス腱には組織の修復を行うためコレステロールが活発に移動しますが、そこに悪玉コレステロールがたまるとアキレス腱が太くなるのです。
特に1.5cm以上の場合は悪玉コレステロールがたまりすぎているのかもしれません。「アキレス腱肥厚」といい、臨床の現場でもよく見かけます。

この現象は黄色腫と同様に、家族性高コレステロール血症の人に見られやすいです。悪玉コレステロールが皮膚にたまると肘や膝、手首、お尻に黄色腫ができやすくなり、腱にたまるとアキレス腱が厚くなってしまうということです。
アキレス腱肥厚の人はコレステロールが高く、動脈硬化が起こりやすいことは以前からわかっていましたが、2023年に報告された新しい論文(※3)では「冠動脈カテーテル治療を受けた狭心症などの患者の経過を見ると、アキレス腱肥厚の人は予後が悪い」ことがわかっています。再発や死亡の危険性が高いということです。
つまりアキレス腱肥厚が起きてしまう時点で、動脈硬化がかなり進行していると考えられます。
動脈硬化は全身で起こっていますから、アキレス腱だけでなく、全身の血管に悪玉コレステロールが悪さをしているのです。
暑い時期は脱水によって
毛細血管の血流が悪くなる
あなたや周りの人で3つのサインの1つでも気づいたなら、一度血管の状態を詳しく調べたほうがいいでしょう。また見た目のサインがなくても、健康診断でコレステロールや血圧の高さを指摘されたなら、動脈硬化の進行や血管の詰まり具合、血栓や潰瘍の有無が確認できる「頸動脈エコー検査」、血管の硬さを見る「血圧脈波検査」を受けることをお勧めします。
悪玉コレステロールによってドロドロ血液に、それらが血圧や血管に悪影響を及ぼしているかもしれないからです。
さらに暑い時期は脱水によって血液が濃くなって血液粘度が上がり、毛細血管など細い血管で血液が流れにくくなります。つまりどんな人でも、ドロドロ血液になりやすいのです。またストレスも血管内の酸化ストレスが増え、白血球などの粘着性が高くなり、末梢の血流を悪くします。
心臓や血管の健康を守るため、夏は適度な水分摂取をし、心身のストレスを避ける生活を心がけましょう。
次回はまた別の疾患のサインをご紹介します。
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