諫:そういう層が一定数いることも分かっています。我々50代以上に絞って見ると、ガチ系を好む傾向が顕著です。ですが最近の若い人たちは、そもそもそういうのを好まないところがあるんですよ。何週間も前から準備して、キャンプ道具を満載にして、気合十分でアウトドアに出かける、という風潮は確かにあったのですが、いまは明らかに萎んでいます。アウトドアショップの閉店が相次いでいるという事実もありますし。

F:そういえば、業界の旗手であるスノーピークの売り上げが激減したという報道もありました。
岡:セカンドハンドの店には、高いキャンプ用品があふれています。
「デリカミニ」はさすがの大成功、「N-BOXクロスター」という案もあった
F:うーん……自分がジジイ感覚であることを思い知りました。どうもJOYのデザインはユル過ぎるように思えてしまう。なぜもっとタフ系に振らなかったのか……というのが最初に見たときの正直な感想です。
諫:いや、実は私も最初の頃はフェルさんと同じ気持ちでいたんです。ただ若い人たちと一緒に開発していく中で、「俺の感覚はちょっと違うんだな……」と気付きまして。
F:ここまでお話を伺っても、「N-BOXのブランドを持ってして、デリカミニ的なガチ系のクルマを出したら絶対ウケるのに」と思ってしまいます。本当にもう、このジャンルを総取りできるのに、と。
諫:三菱さんの「デリカミニ」は大成功ですよね。あれは「デリカ」という四駆の名車があればこそできた、さすがの車名です。我々が今回車名を決めるときに、ホンダの中でアウトドアテイストのある「クロスター」とか、大自然のイメージがある「カントリー」とか、そういう候補もあったのですが、デリカに比べればやはり弱い。やっぱり方向性が違うよね、と。
F:おぉ!幻の車名N-BOXクロスター!これはこれでウケそうですが。