
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3890社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『「最新版」1億円以上稼ぐ取締役1199人の実名! 上場3890社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#3では、不動産業界の報酬ランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
不動産業界は年収1億円以上が66人!
独立系デベの幹部が多数ランクイン
首都圏の新築マンション価格が1億円超え――。
不動産経済研究所によると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で発売された新築マンションの7月の平均価格は、前年同月比28.4%増の1億0075万円だった。平均価格が1億円を超えるのは今年3月以来4カ月ぶりになるという。
“億ション”が当たり前となった今、一般家庭にとって都心の新築マンションは高根の花となりつつあるが、そんな庶民の苦境をよそにマンションを手掛けるデベロッパーは好業績に沸いている。しかも好調なのはマンションだけではない。企業のオフィス需要も堅調で、オフィスの賃料収入も業績を支えているのだ。
オフィス仲介大手の三鬼商事が発表した7月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.21ポイント低い3.16%だった。下落するのは5カ月連続で、適正な空室率とされる5%を大幅に下回っているのだ。
オフィス需要が堅調な背景には、新型コロナウイルス禍の終息に伴うオフィス回帰の動きや優秀な人材を確保するために分室を新たに設ける動きが加速していることがある。オフィス需要は今後も高水準で続くとみられ、首都圏に多数の大型ビルを持つ大手デベロッパーの業績が揺らぐことはなさそうだ。
では、絶好調な不動産業界で「年収1億円以上」の経営幹部は、どれほどいて、どんな顔触れなのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。
集計の結果、不動産業界で「年収1億円以上」は66人いることが判明した。全業界の平均が33.6人だから、かなり多いことが分かる。トップは、7億円近く受け取っていた。
次ページでは、デベロッパーの中でも財閥系である三井不動産、三菱地所、住友不動産ら幹部はどれくらい報酬を受け取っているのか紹介する。また、財閥系3社以外のヒューリックや野村不動産ホールディングス(HD)、東急不動産HDなどの企業の幹部たちは、何人ランクインしているのか。実名と共に一挙に見ていこう。