
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクグループのAI投資がすさまじい。これまで横並びが多かった銀行業界でもその活用方法には大きく差がついた。特集『DX2025 エージェントAIが来る』(全21回)の#6では、3メガAI対決の行方を取り上げる。競争を制するのはどこか?(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
3メガ合計でAIに1600億円投資
みずほでは加藤頭取自らAIエージェントを作成
いまや一大ブームとなりつつあるAIエージェントを、自ら作るメガバンクの頭取が現れた。みずほ銀行の加藤勝彦頭取だ。
トップがAIを学ぶイベントの場で、自律型エージェントとワークフロー型エージェントという2種類のAIエージェントを作成。自然言語で指示するだけでプログラミングとデザインまでを自動で実行できるこれらのエージェントで、支店への来店予約サイトの試作品と、取引先の役員情報が最新のインタビュー等も含めて検索できるリサーチツールを作り上げた。頭取がAIエージェントを作るのは国内銀行で初だという。
他業界と比べても、銀行のAI関連投資額は多い。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ合計でのAI投資額は1600億円にも及ぶ。ITベンダーなどを除けば、国内の他産業を大きく上回る規模感だ。
銀行には数万にも及ぶ事務手続き業務があり、AIで自動化できる余地も大きい。また、1950年代に三和銀行が初めてメインフレームコンピューターを勘定系システム向けに使用するなど、そもそもIT活用でも長い歴史を持つ。だが、2023年のChatGPT登場直後の最初のブーム時は、AIの業務本体への活用は恐る恐るだった。
ところが25年の今、メガ3行はいわば三行三様にAI活用のアクセルを全力で踏んでいる状態となっている。どの銀行がどこまで進んでいるのか。そして、将来的にはAIで一体どんな銀行になろうとしているのか。「3メガAI対決」を制するのはどこなのか。その内容を次ページから詳しく見ていこう。