――社長就任では3つの公約を掲げ、プロレス人気を「W字」回復させると宣言しました、その意味は?

 公約の1つ目が「東京ドーム大会を超満員にする」、2つ目が「地方でのタイトルマッチを増やす」ことです。

 2000年代前半~中盤は、新日本プロレスの超低迷期でした。それが09年以降、中邑真輔、棚橋、後藤洋央紀など選手がそろってきた。そして12年にオカダ・カズチカの凱旋帰国で一気に跳ねて、知名度も業績もノンストップで上向いていました。これがV字回復期で、19年7月期には過去最高の売上高となる54億4000万円、年間観客動員数は44.3万人に達したんです。

 しかしコロナ禍が襲い、観客動員は半分以下に落ち込みました。その後、コロナ明けからは順調に回復しています。この流れで26年の東京ドーム大会を満員にして、V字回復どころかW字回復させるのが僕の使命です。

――26年に特に注力することは?

 20代後半~30代前半の選手の知名度を上げること。今、中心となって活躍している海野翔太、上村優也、辻陽太、成田蓮、大岩陵平、そこにウルフアロン(柔道金メダリスト)が26年にデビューします。すごい陣容になりますよ。

 というのも各時代のトップ選手を振り返ると、まず猪木さん1人に人気が集中していた。次の長州力さん、藤波さんは2人。一大ブームとなった闘魂三銃士は3人(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)。

 その後、第3世代と呼ばれる天山広吉さん、小島聡さん、永田裕志さん、中西学さんが4人。暗黒期からのV字回復を支えた中邑と棚橋で2人。そしてオカダは1人。トップ選手は同世代に最大4人だった。それが、今は片手では収まらないほどいて、層が圧倒的に厚くなっています。

 この状況は新日本プロレスにとっても初めてのこと。ゲームとしては群雄割拠、どうなっていくかが予測不可能だし、絶対に面白い。選手を発掘・育成し、新しい時代の試合を見せ続けられることが、新日本プロレスの最大の強みです。

ドジャースのグッズ売り場を
視察して分かったこと

――社長就任3つ目の公約として「スポンサーとのパートナーシップ強化」も挙げています。

 25年の東京ドーム大会ではJR東海に冠スポンサーをしていただいたことで、新幹線の車内放送でプロレスのクイズや宣伝を流すことができました。新日本プロレスが、クリーンで信頼ある団体だと大手企業に認めてもらえるのは本当にありがたいですね。

 スポンサーとの関係を考える上では、アメリカでメジャーリーグを視察したのがいい経験になりました。