結局は会社を設立する前にポシャってしまうという失敗経験だった訳ですが、実際に動いてみることには大きな意味がありました。まだふわふわしたものとは言え、自分自身で想いがあることを実現するために走り回ることは、やりがいがあり、楽しい日々でした。MBAの授業についていくだけでも大変なのに、起業と両立することは物理的には非常にハードでした。ただ自分の想いがあることをやっているため、趣味や遊びをやっている感覚でシンドイとはまったく感じませんでした。むしろ、充実感で一杯で、結果的には失敗に終わってしまったのですが、振り返ってみても良かったな、幸せだったなと心から思います。
正しい大人ほど助けてくれる
疑似起業の中で色々動き回ってみることで見えてきたこともありました。
“日本にまだないデザインファームを日本に持ってくる”
“デザインの力で、アップルのようにハード、ソフト、サービスが融合したビジネスモデルを創造する”
“日本のクールなデザイン力を使って日本企業が世界と戦うサポートをする”
――情熱を持って、世の中の課題・問題を解決すべく、活動していれば、驚くほど周りは助けてくれます。アメリカでコネがないなか、トップデザインファームにコンタクトできたのも、ハーバードの教授や友人、はたまたその友人が「おお、それは面白いね、いけそうだね」ということでどんどん業界の人を紹介してくれて、そのツテを辿っていけたからでした。
夏休みの間日本に帰国していた際、日本でデザインファームのニーズがあるのか、また日本ではブランドもリソースもない中、デザインファームをどうやって立ち上げるのかを検証をするため動き回りました。またしても、色々な人の助けを借り、まったくツテが無いところから辿り辿って、大手電機メーカのデザイン担当の役員の方にアドバイスをいただいたり、ポテンシャルクライアントとなる大手企業の社長にヒアリングをさせていただいたり、そしてジョイントベンチャーに事業パートナーとして出資しても良いというコンサルティングファームの代表にも巡り合えたりできました。
その代表の方には、ジョイントベンチャー設立に際して、私個人に貸付をしていただき、それを元手に私自身もジョイントベンチャーに出資し持分を確保できるという非常に有難いスキームに乗っていただけました。大きな方向として正しいことをやっていれば、正しい大人ほど助けてくれる――これが実感でした。
次回は7月30日更新予定です。