デンマークでは残業の評価が低い?
私の目からみて、デンマークで生産性が高く幸せな働き方をしている2人の方にお話をききました。まずはレゴでデザイナーとして勤務しているジョン・クページさん(31歳)にインタビューをお願いしました。
子どもの頃から大好きだったレゴの仕事をすることができてとても幸せだというジョンさん。アイルランド出身で、2年前からデンマークのビルンに本社があるレゴで働き始めました。
デンマーク人の働き方について驚いたことは何かと聞くと、まずワークライフバランスの高さだといいます。
「アイルランドでは、午後5時~7時くらいまで働くのが普通です。デンマークではそれより早く帰っても、誰も悪く思わないですね。それが普通のことなんです。アイルランドでは午後5時に帰ると、自分の仕事について何も気にしていないのではないか、と思われます。
逆にデンマークで5時や6時まで仕事をしているとどう見られるのですか?
「特にネガティブな意味で判断されることはないと思います。でも2年間勤務したこれまでの経験だと、残業が評価されて昇進に繋がるとも思えないですね。仕事の結果が昇進に繋がるのです。自分がどう見られているのかということではありません。
ちなみにアメリカ人の同僚から聞いたことで、僕はこれはとてもアメリカっぽいことだと思うのですが、アメリカでは残業が昇進につながることもあるそうです。オフィスに残って仕事をしているように見せることが、昇進するための手段でもある。
デンマークではいつも残業していても、まったく昇進しない状況もあり得ます。レゴはパフォーマンスドリブンの会社です。結果をもとに昇進するのです。つまり毎日8時から4時までしか働いていなくても、結果を出していれば毎年昇進することは可能です」
なるほど成果主義ですね。ところで午後4時に帰るとなると、普段の同僚とのコミュニケーションはどのように図るのでしょうか?
「それでいうと、私の職場では少なくとも1週間に一度は誰かがケーキを持ってきて、お祝いをしています。誕生日には自分でケーキを準備して、同じチームのメンバーのために持ってきます。ちなみに今週は2人も誕生日の人がいたので、すでに2回ケーキを食べました。
アイルランドでは、お祝いのケーキは誰かが用意してくれるものだったので違いますが。ここでは、新しい家や車を買ったら、みんな自分でケーキを持ってくるんです。昇進したら、自分でケーキを持ってきます。レゴのブロックが入ったボックスをひっくり返してフロアにまき散らしてしまったら、ケーキを買う。これは会社の習わしですね(笑)」
お祝い事のある人が、メールで同僚を招待して、自由にみんなが来ては去るという自由なスタイルの会を仕事中に主催するそうです。日本では同僚と良い関係を築くために、仕事後に一杯飲みにいくという文化はありますが、そういった文化がないデンマークではこうしたところでコミュニケーションを図るようです。
それにしても昇進する上で残業の価値が低いとなると、限られた時間で結果を出す働き方とはどのようなものになるのでしょうか。