田舎の両親を扶養家族に入れたときの
健康保険料の損トク
会社員の健康保険料は、給与(標準報酬月額)に一定の割合を掛けて決まります。家族も勤務先の健康保険に加入できますが、扶養家族が何人いても保険料は変わりません。妻や子どもがいる男性会社員でも、独身の会社員でも給与の額が同じなら保険料は同額です。
扶養家族にできるのは配偶者や子ども、同居している両親や兄弟だけではなく、一定の年収要件などを満たせば、離れて暮らす父母や親戚も扶養に入れることができます。
扶養家族として健康保険に加入できるのは、同居している三親等以内の親族です。ただし、配偶者や子ども、父母など一部の親族は、保険料を支払っている人(被保険者)の収入で生活をしていることが証明できれば、同居していなくても扶養に入れることができます。
親の年齢が60歳未満は年収130万円未満、60歳以上と障がい者は180万円未満で、その金額が子どもの仕送りよりも少なければ、離れて暮らしていても扶養に入れられます。
東京都在住のNさん(45歳)は、実家の父(70歳)の介護施設の入所費用を月7万円負担しています。自営業だった父の現在の収入は、月6万5000円の国民年金だけなので、年収は約78万円。まず180万円未満という年収要件をクリアしています。さらに、その年収がNさんの仕送り84万円よりも少ないので、扶養家族として認められます。
年に数回、帰省したときに親におこづかいを渡す程度では扶養家族とは認められませんが、毎月決まった額を仕送りしたり、介護施設の入所費用を負担していれば、認められる可能性が高くなり、親は保険料の負担なしで健康保険に加入できます。また、医療費が高額になった場合に払い戻しを受けられる高額療養費の世帯合算もできるようになります。
ただし、親を健康保険の扶養に入れられるのは親が75歳になるまでです。75歳になると、すべての人が後期高齢者医療制度に移行し、たとえ同居していても子どもの健康保険には加入できなくなります。また、加入している健康保険によっては、扶養条件が異なるところもあるので、勤務先の健康保険の窓口に問い合わせてみましょう。
ちなみに、自営業やフリーランスの人が加入する国民健康保険は、収入に応じて決まる「所得割」と家族の人数によって決まる「均等割」などを合算して保険料が決まるので、扶養家族が多くなるほど保険料も高くなります。保険料の負担なしで親を扶養家族にできるのは、実は会社員・公務員の特権なのです。
次回は9/30更新です。
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