サブプライム問題に関連して、世界的に株価が急落するなど金融市場が不安定な展開になっている。
サブプライム問題とは、米国で、所得水準が低いなど信用状況が低い層に対する住宅ローン=サブプライムローンが焦げ付いていることに伴い、当該住宅ローンを基礎にした証券=RMBS(レジデンシャル・モーゲージ・バックト・セキュリティー=住宅ローン担保債券)の価格が急落したり、それによって大手金融機関の業績が悪化している現象を指す。
サブプライム問題発生の背景
何故、今、サブプライム問題は発生したのか。
直接のきっかけは、従来、上昇を続けてきた米国の住宅価格が、昨年の年央以降頭打ちから下落傾向に転じたことだ。90年代後半、米国の株式市場では、“ITバブル”が市場を席巻した。ITに関連した企業の株は、いかなる銘柄であっても一様に上昇した。それは、80年代後半のわが国の資産バブルと同じ様相だった。その“ITバブル”が弾けたのが2000年である。当時は株価が大幅に下落し、日本と同様、米国も長期の経済低迷期に入ることが懸念された。
しかし、米国は、グリーンスパン前FRB議長の柔軟な金融政策の運営もあり、結果的に大きな景気後退には至らなかった。“ITバブル”崩壊に際して、FRBは迅速に金融政策を緩和して、金利を引き下げ潤沢な流動性を供給することで、経済をソフトランディングさせることに成功したのである。
ただ、それによって問題が全て解決されたわけではない。潤沢に供給された資金が不動産市場に向かい、住宅価格が顕著な上昇傾向を示し始めた。それによって、米国は“ITバブル”を“住宅バブル”に乗り継ぐことに成功したのである。
その“住宅バブル”に目をつけた金融機関は、住宅価格の上昇を前提にして、信用力の低い家計にまで積極的に住宅ローンを貸し込んだ。住宅価格が上がっていくのであれば、たとえ信用力が低い家計でも、住宅を転売することによってローンの返済が可能になると考えたのだ。