この4月に九州で初の会計専門職大学院がスタートした。「熊本学園大学大学院会計専門職研究科アカウンティング専攻」という長い正式名称を持つこの学校は、全九州期待のアカウンティングスクール=会計大学院である。

「プロフェッショナルスクール」
としてあるべき姿を持つ会計大学院

 ご存知の方も多いだろうが、会計大学院とは、公認会計士試験と寄り添うような関係にある専門職大学院である。会計大学院を修了、具体的には財務会計に関する科目を10単位以上、管理会計に関する科目及び監査に関する科目をそれぞれ6単位以上計28単位以上履修し、会計大学院の専門職学位を授与されると、公認会計士試験の短答式試験で4科目中の3科目「財務会計論、管理会計論、監査論」が免除される。

 法科大学院と司法試験の関係に似ているようだが、違うところも多い。法科大学院は事実上、新・司法試験の受験資格を得るための学校だ。修了していなければ試験が受けられない。

 一方、公認会計士試験は、受験の門戸を一般に開放している。会計大学院修了のメリットは「免除だけ」と、過小評価される場合も少なくない。しかしそれは、かなりの誤解を含んでいる。

 実際の会計大学院で学ぶ内容は、試験そのものときわめて強い関連性がある。すなわち、会計大学院で学び、修了するということは、短答式の3科目に合格する相応の能力を持っていることに等しく、当然に免除を受けることといってもいい。そしてこの内容は、最後の難関である論文式に重なっている。すなわち、学ぶ内容=試験の内容=実務の内容という、非常にきれいなプロフェッショナルスクールのあるべき姿を描くのである。法科大学院のように、「試験に出ない内容を含め、よき法曹になるために良く学んだ学生」が、試験対応中心の学生に、司法試験の本番で負ける、というパラドックスが、会計大学院にはない。

 熊本学園大学のアカウンティングスクールは、特に社会人に対して非常に有利なシステムを導入している。それが「ウィークエンドコース」の異名を持つ、土日開講のシステムだ。週末の二日間に5コマを開講し、金曜日の夜(通年ではない)とあわせると、勤務を休むことなく2年間で修了が可能にある。このコースに、平日の講義を加えることも可能だ。

 九州にプロの会計人を育成する使命を、正しく理解している大学院。このコースを使えば熊本だけでなく近県、またはもっと遠方からの通学も可能になる。

 アクセスは、JR鹿児島本線熊本駅から車で約15分。土地勘のある方なら、市電の電停「味噌天神」から徒歩約15分といったほうが判りやすいだろう。初年度納入金は今年度、132万円。入学定員は30名である。

 今年4月入学の試験は、初年度ということもあって遅く、12月から開始された。今年は7月ごろと大幅に繰り上がる可能性があるので、HPには注意しておきたい。

熊本学園大学 大学院 会計専門職研究科アカウンティング専攻