ポイント2
よくメモすることは記号化

 略記に加えて、打ち合わせの記録や読書の記録など、よく書くことは記号を使って簡単に書き留めることができるようにしておきましょう。たとえば、次のようなことを記号で表記しておくようにすると、書く手間を省くことができます。

(R)読書…読んだ本のタイトル、感想、抜き書きなど
(M)映画…観た映画のタイトル、感想、印象的な台詞など
(T)テレビ…観たテレビ番組のタイトル、感想など
(M)ミーティング…打ち合わせ、会議などでのメモ
(ミ)企画…仕事でやってみたい企画、調べたらおもしろそうなこと、イケそうな案など
(ネ)ネタ…人に言いたい話、ネットに書きたい話、どこかに使いたいフレーズなど
(ア)アイデア…やりたいこと、改良・改造案、妄想したこと
(E)飲食…食べたもの、飲んだもの

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 このように記号を決めておくと、電車を降りる5分前やコーヒーブレイク、踏切待ちの間など、ちょっとした空き時間で自分の考えをまとめておくことができます。

 たとえば、次のように記号を使って「テレビメモ」「読書メモ」「映画メモ」を書いてみる。すると、どこが、なぜおもしろかったのか、そのおもしろさを他の人にどう伝えればいいかということを考えるきっかけになります。また、記号は目印になるので、企画のメモも、雑多なノートの中でも目的のメモをすぐに見つけることができます。

 記述に「自作記号」を取り入れるメリットは、速く書けることだけはありません。書いている内容を他の人に盗み見された場合も安心です。もしノートの中を人に見られても、記号が多用されていると、何についてのメモなのかよくわからないからです。

ポイント3
プライベートな記録もどんどん残す

 本書で紹介するノートの使い方で、「○○を書いてはいけない」といった決まりごとはありません。スペースに限りはないので、仕事の備忘録や会議の議事録だけでなく、落書きでも妄想でも、どんどん書いてみてください。

 特におすすめしたいのが、本を読んだり休日のお出かけなどの記録を書いておくことです。ノートは、仕事中でなくても常に手元に置いておき、休日も携帯します。せっかく持ち歩いているのだから、何も使わないのはもったいないでしょう。

 たとえば次のように、読んだ本や観た映画などの感想、旅行や散歩で感じたことなども、すべて同じノートに書いておきます。

[130710](R)アウトサイダー/コリン・ウィルソン/中公文庫
「盲人の国では片眼の人間が王である」。名言。こんなふうに考えるのがアウトサイダー。社会に入れないが故に選ばれている。選民思想。
(ア)メールボックスの自動分類に「大学関係者」を追加しておく。
[130710]ランチは重すぎた。夜は軽くしたい。魚にしよう。
(ア)パーソナルスペースで働き、食事や会議でだけ同僚に会うオフィスというのは?

 このように、読書メモや食事内容のメモを書くついでに「そのときに思いついたことを書いておく」という癖がついてきます。この場合は電車で本を読んでメモを書いたときやオフィスビルの食堂でランチを食べたときに頭に浮かんだことをそのまま書いたのでした。

 この例のように、プライベートの場面でも気軽に使っていくことで、仕事につながるアイデアや発見もすぐに書き付けられる構えができてくるわけです。

 さらに、参照の面でもいい効果があります。ノートには、仕事に関係することと、無関係なことがごちゃまぜに入っています。その結果、たとえば、以前に書いた議事録のメモを参照するとき、数週間前に読んだ小説の感想や、観光地で食べた料理のことが自然と目に入ったりすることがあります。すると、

「あの北海道出張をしたのは、家族で水族館に行った次の日だった。朝が早くて大変だったなあ」
「今、行き詰まっている例の企画を思いついたきっかけは、この本だった。もう一度読み返してみよう」
「あの会食では、東京から来た○○さんと大阪でふぐを食べながら、『夏の参院選の結果はどうなるか』という話をしたっけ」

 という具合に、一つひとつの記録の「連なり」が意味を持つようになります。僕たちの実際の生活は、仕事や読書など、「そのことばかり」をしているわけではありません。日々の生活の中に、仕事があり、雑談があり、読書があり、考えごとがあり、とモザイク状に散らばっているわけです。

 だから、時系列でごちゃまぜになっている方が、そのときの意識や考えがリアルに記録されることになり、ノートを見返すことで頭の中が整理されていくのです。