放置された日本の森林は危機に
資源は「ある」ものでなく「なる」もの

 先に述べた通り、日本の森林資源はパンク状態だ。森林を大事にしている北欧諸国は森林の利用率が90%を越えているが、日本の利用率は先進国のなかではとりわけ下位に位置する。環境先進国の意識の違いを思い知らされるが、ほって置かれた日本の森林は危機に瀕している。

 年老いた木はCO2吸収効率も悪く、環境に悪影響を与える。そんな増えすぎた木が杉花粉症などの形で社会問題の一因にもなっていることは、周知の通りだ。

 植林した自然は伐採して、それを有効に利用しなければいけない。しかし、間伐や伐採という作業はマンパワーとコスト、そして時間がかかるので、それは経済的には簡単ではない。

「折箱作っているところやっぱり少ないんですよ。はじめからつくっているところはほんとに数えるほどしかない。これからも木の文化を守るための教育活動にも力を入れていきたい、と思っています」

 信田社長の代になってから木具定商店では「ECO経木モビール木工工作キット」という教材も開発した。今後はさらに別の形でも木の文化を守るための啓蒙活動をしていくそうだ。

折り箱は20個単位。入手は卸しが主だが、ご相談してくだされば、とのこと。一般の方も結構、譲って欲しいと来るそうだ

 これまで日本は木を植えることには一生懸命だった。80年代、90年代と企業などがCSR活動の一環として、植林などを行ってきたが、活用する事に関しては力を入れてこなかったように思う。

 エコロジーという言葉には、本来「生態学」という意味がある。生態学とはひとつの生物を取りあげるのではなく、それぞれの相互作用などを総括的に考えるものである。僕らが考えるべきことは、人間も含めた環境全体のことだ。

「最近は料理をされる方も折箱が使えないんですよ」と信田社長が言う。「折箱に詰めるときは煮物とか、ちゃんとザルで煮汁を切らなくちゃいけないんです。そうして水気を切りながら冷ましたものを詰める。今の人はそういう仕事を知らないから」

 僕も折箱に料理を詰めてみた。簡単な料理ばかりだが、四角いスペースに料理を収めていく作業はいつもと違ってとても楽しい。 

 まだ今は寒いけれど春になったら、折箱に料理を詰めて、どこかに出掛けるのもいい。常に新しいものを使うので清潔だし、捨てられるので、帰りには荷物が軽くなる。良いことずくめだ。なにより、おひつのように余分な水分を吸収するため、ごはんが美味しい。