日本人の強みは協調性と公共性の高さ
漆 たとえば、日本人は協調性と公共心が高いと言われます。以前、経済視察ということで生徒たちを中国に連れて行ったときにこんなことがありました。そのとき、かなり個性的で、どちらかというと自分を表現できるタイプの子たちが集まったんですが、現地に着いたらいきなり、「先生、トイレに入れません」と言いに来たんです。向こうの人たちは並ばずに割り込むから、トイレに並んでもなかなか入れないと。そこで、仕方なく、『郷に入れば郷に従いなさいよ』と伝えたら、マナーはどうするのか、とかぶつぶつ言ってました(笑)
日本ではかなり自分勝手だと自認している子たちでさえ、ルールやマナーを守るという点においては、相対的にきちんとしているんですね。これはこの国の財産だと思います。日本には、自然とほかの人のことを考えることが身につく文化があるんでしょうね。
このよさを発信する力、プレゼンする力がつけば、世界のどこへ行っても、人をまとめ、貢献するリーダーになれるんではないかと思いますよ。
「給食当番」「掃除当番」が日本の教育の強み!?
松田 たしかに、他国からみることで、良さを再確認するということもありますよね。自分も「日本の教育はなんてダメなんだ!」と思って、最初は非常に意気込んでいたんです。でも海外でいろんな国の制度を知ると、いいところはたくさんあった。たとえば、日本の学校の「給食当番」は、衛生面の教育、食育と言われる栄養面での教育、さらにチームプレーを学ぶのにすごい良い仕組みなんですよね。
漆 そうそう。給食当番ひとつとっても、相手への配慮とか、「和」が行き届いていますよね。あと、掃除当番とかも海外だとびっくりされますよね。
松田 確かに。アメリカだと、業者が入って掃除をしますからね。
漆 サウジアラビアに行ったときに、向こうのバラエティ番組で「日本は子どもたちが、自分で教室の掃除をしている!」とか「自分で散らかしたごみを自分たちでかたづけている!」ということが、驚くべきこととして放送されていました。
それを見た、ある王子の経営する学校では、今、日本の学校の掃除システムを教育に取り入れているそうです。
松田 公共心を育てるのによさそうですもんね
漆 こういった他者に対する配慮とか和を大切にする心を大切にし、その価値を伝えることで自己肯定感が育つんだと思います。
(続く)
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