②予算編成上のルール【マクロ】

「財政制約」がきちんと認識できたとして、次に欠けているのは、収支改善を中期的なスパンで確実に達成していくための予算編成上のルールだ。欧米主要国の例をみると(前ページ図表参照)、ドイツの場合は、連邦政府に健全な財政運営を行うことを義務付ける、具体的な計数を明示したルール(「構造的財政収支」(**)対GDP比を▲0.35%以内に抑制)が憲法に明記されている。

 また、イギリスの「財政責任憲章」のように、立法レベル、ないしは政治的な合意レベルでこのようなルールを設けている例も多くみられる。「政治」の世界が、ともすれば財政拡張的な方向に走りがちになるのは、各国に共通する問題点だが、各国は常日頃から、このようなルールによって財政健全化に向けた縛りを「政治」にかけているのである。

 わが国としても、憲法レベルはさすがに容易ではなかろうが、法律レベルでも、1997年に策定された「財政構造改革の推進に関する特別措置法」のようなプログラム法を定めることができれば、中長期的な財政再建に確実に取り組むための環境は、相当程度改善すると考えられる。

(**)「構造的財政収支」とは、実際の財政収支から、景気によって変動する要因や一時的な要因を除いたもの。

③個々の政策の有効性を吟味する「プログラム審査」【ミクロ】

 このほか、個々の政策のいわばミクロのレベルで、その有効性や効果を吟味するスキームも、わが国には欠如している。アメリカの連邦政府の行政予算管理局(OMB)のスタッフは、各省の政策プログラムの実効性を厳しく吟味する「プログラム審査官(program examiner)」によって構成されているが、わが国の政府内には、制度上、このような存在はない。

 わが国では政治的なイニシアティブのもと、行革の取り組み(行政事業レビュー)によって、政府の政策全体のごく一部が、こうした外部の眼による政策評価にさらされているに過ぎない。その公開プロセスの場では、政策効果の有効性や、立てつけ自体に疑問を禁じ得ないような政策が次々と明らかになっている。