――震災が発生したとき、村上さんは現役の村長でした。原発行政はどのように変化すると考えていましたか。

 東海原発もあわやというところだった。私は女川から東海までの14機、すべてメルトダウンしてもおかしくなかったと思いますよ。それをなんとかして支えたのは電力会社の人たちの努力で、それは評価するんだけど……。

 とにかく、大きな地震が起きるような危険な地域に原発を平気で建てていてはいけないんですよ。原発は安全だっていう前提で、危機対応を真剣に考えることができない国は、原発は持っていけないんです。日本は、巨大な科学技術を持てるような、そんな国じゃないんです。

 それでも、再び原発を動かそうとするなんて、本当に呆れた国だね。原発を無くそうという国民の声を無視している。

地方経済の疲弊を盾にして
原発を維持しようとしている

――原発行政には、電源自治体に対する電源三法、原発からの固定資産税、雇用や人口増加など、さまざまな恩恵があります。それは地方経済を支える重要な役割として指摘されることが多いですよね。

 電源三法や固定資産税など、財政的な恩恵は確かにあるが、その恩恵を受けているのはわずか20程度の自治体です。地方経済、地域経済全体が、直接恩恵を受けているわけではないですよ。恩恵を受けているのは、大消費地の東京近郊の事業者の方です。

 原発を止めたら地方経済が大変なことになるって言っているが、それは地方経済の疲弊を盾にして、日本全体の問題である原発を維持するという、論理のすり替えだと私は思っている。

――メディアも含めて、そうした地方経済と原発の関係性を信じています。

 そうだね。でも、実際に電源三法で恩恵受けているのは立地自治体だけなんだよ。周辺自治体は雀の涙ほどのカネを落としてもらっているだけだ。

 東海村は恩恵を受けている。でも周辺の自治体にはないですよ。何の恩恵を受けていないと言ってもいいと思う。