電子時代に成功する
企業の4原則

 原書“KOTLER ON MARKETING”は99年に発刊されました。山一証券、北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行など巨大金融機関の経営破綻が相次ぎ、日本が金融危機の真っ只中にあった97年末から98年。コトラーは本稿を執筆しながら、インターネット先進国米国の将来に思いを馳せていたのでしょう。そして消費者の購買行動の変化に確実に適応する手法として、ITベースのマーケティングを提唱していたのです。

 では、来るべき電子時代において企業が成功するために何をなすべきか。当時、コトラーは以下の4つの原則を重視していました。

1.顧客データベースを構築し積極的に活用する
2.インターネットの利用に関する明確なコンセプトをもつ
3.関連のウェブサイトにバナー広告を掲載する
4.アクセスが容易であり、顧客からの問い合わせにすばやく対応する(334~340ページ)

 さらに、企業が21世紀に向けて自らの未来を築こうとする時、以下の設問に答えられるかがポイントになると指摘しています。

1. 五年後、あなたの事業がどのようになっているかを示したシナリオを、会社は作成していますか? 情報革命によって利益を得る、あるいは被害をうけるのは消費者ですか、協力企業ですか、それとも競合企業ですか? 価値連鎖上のどこで利益が発生しますか?

2. 自社の製品と企業についての情報提供を目的としたウェブサイトを開いていますか? そこでは顧客に何度もアクセスしてもらうための呼び物やベネフィットを提供していますか?

3. 顧客があなたの会社に対して質問や提案や不満を述べやすいように、最大限の努力をはらっていますか? 顧客からのこうしたメッセージには、どの程度迅速に対応できていますか?

4 あなたの会社には、見込み客や顧客、ディーラー、納入業者の名前とプロフィールを記録したデータベースがありますか?

5. 社員同士が連絡をとりあったり、本社のデータ・バンクに照会したりできるイントラネットを構築していますか?

6. 主要顧客、流通業者、納入業者をつなぐエクストラネットを構築していますか?(340~341ページ)