「日経平均株価が1万円割れを起こす?」

 そんな話を聞いたら、度肝を抜かれる人は少なくないだろう。

 日経平均の1万円割れといえば、2003年4月、ソニーの決算が大幅減益に陥ったことに端を発し、株価がバブル崩壊後最安値となる8000円を割り込んだ「ソニーショック」以来の事態である。

 本当にそんなことが起こり得るのだろうか? 投資家にとってはにわかに信じたくない話だが、実際、そんな不安を抱える市場関係者が少なくないのだ。その背景には、いったいどんな事情があるのか。

 振り返れば、米国でサブプライムショックが起きた昨夏以降、株式市場では長らく不安定な地合いが続いている。米国経済の失速懸念でドル安が進んだ結果、原油をはじめとする商品相場には大量の投機資金が流れ込み、物価がみるみる高騰した。企業収益や個人消費は悪化の兆しを見せ始め、市場には世界的な景気減速不安が蔓延。そのため、先進国ばかりか、過熱気味だった新興国の株式市場までもが大幅な調整を余儀なくされたのだ。

危機感を募らせる投機筋
パニックで株価は乱高下

 その低迷ぶりはすさまじく、世界の株式市場は、直近の数カ月間だけでも約3兆ドル(300兆円以上)もの価値を失ったと言われるほどだ。

 国内を見ても、日経平均株価が1万8000円を突破した昨年中盤の勢いは見る影もない。株価は今年3月に1万2000円割れを起こし、その後5~6月には一時1万4000円台まで回復したものの、米国経済の失速懸念により6月中旬から再び下落。7月に入り、1965年以来じつに43年ぶりとなる「10日間以上の続落」を演じて、1万3000円を下回った。

 米国金融機関の決算不安が一時的に和らいだ直近では、1万3000円台を回復しているものの、個人ばかりか海外機関投資家までもがこわごわと「模様眺め」を続けている。

 ところが、不安はまだまだ拭い去れない。冒頭で触れたように、「株式市場は今年後半にも大きな調整に見舞われる可能性が高い」と語るのは、金融市場に精通する草野豊己・草野グローバルフロンティア代表だ。