『伝わっているか?』を読めば、ユニークな毎日が送れそう

佐々木 小西さんの『伝わっているか?』を初めて読ませてもらった時、読み物として面白いなと思ったんです。広告のクリエイターが書く本って、基本的にマーケティングの方法論が多くて「今の市場をどうやって掴むか?」みたいな話になるんだけど、全然違う初めて見るジャンルとして「伝わっていく」気がしました。
 小西さんって、コピーライターでもあるんですけど、演劇の脚本も書いてらっしゃるんですよね。

小西 そうですね。

佐々木 そういう流れを感じました。自分の伝えたいことが、たとえば20個あるとしてそれを全部繋げて一つのストーリーで伝えていく。それが形になっているから読みやすい。
 本を最後まで書くには体力が要ります。前半はすごく練った文章が書けても、後半、特に最終章までスタミナをキープするのは大変です。でも小西さんの本は最後の最後まで、きちんと書き込まれていて、後半はもっと学びが深くなっていく。いろんなビジネス書を読んでいると、中盤辺りでちょっと緩くなって、前半のほうの書き込みが強いと感じるけれども、この本は最後まで、本当に一瞬も手を抜かずして書いたんだなっていう気迫を感じましたね。

小西 ベストセラー作家に言われると、すごく重みがあるね(笑)。

「相手の立場になって、考え抜いているか」<br />【佐々木圭一×小西利行】(前編)

佐々木 この本は、読んだ人自身の考え方が変わる本だと思いました。実際、僕自身ものすごく学べましたし。いっぱいメモするべきところもありました。
 世の中の人がこの本に書いてある伝わり方のテクニックを身につけたら、発言のあり方も考え方も変わるだろうし、読む前よりもユニークな毎日が送れそうな気がしますね。学生が読んでも、主婦が読んでも、サラリーマンが読んだとしても、次のタイミングから「ちょっと考え方、変えてみようかな」と思えるんじゃないかなと。難しいやり方じゃなくて、簡単にできるヒントがいっぱい書かれているところもいいと思いましたね。

小西 ありがとう。僕が佐々木君の本を読んで衝撃的だったのは、読む相手の感覚を掴んでいることでした。言葉が行き届いているというか、こういうものがあればいいのにっていうところにあるんですよね。多分、長い前口上の後に例題がくると、そこにたどり着くまでが息苦しいんです。でも、この本は読んでいて「どういうことなんだろう?」と思ったら、実例が先に来て、理解してから内容を読んでいくというシステムになっている。そこが非常に読みやすいと思いました。
 僕は、難しいっていうのは基本的にはダメなことで、簡単なほうがいいと思うんです。自分が考えていることを難しく頭よさそうに書くのは意外に誰でもできるんですけど、それをすごいわかりやすく簡単にできる人はあまりいません。とても難しいんですよ。