麻雀で鍛えた
勝負どころを見極めるスキル

長谷川 自分の判断で大学に行こうと思ったのですね。

藤田 自分の置かれている状況を自分なりに解釈し、受験という競争ルールを見極めようとしていました。そう考える癖は学生の頃からついていたと思います。

 多くの起業家に共通していると思うのですが、みんな大学受験は短期間で一気に勉強して合格しているんですね。恐らく自分の置かれている状況や勝負どころを見極めているのだと思います。それで最後は辻褄を合わす。「ここが勝負どころだ」というところを見極めて勝負することは、起業家としてとても大事なスキルだと思います。今でも勝負どころでは集中して働いて、そのあとは粛々と仕事をするというスタイルで仕事をしています。

長谷川 勝負どころを見極めるにはセンスがいると思うんですが、その能力はどのように培われたと思いますか?

藤田 あまり言いたくないですが、実は麻雀で身に着いたのかなと思っているんです(笑)。麻雀は常に不平等な状況で、勝てる確率が基本的には4分の1。ここで勝たなきゃダメだというときに集中しないといけない。毎回勝てると思ってやっている人は弱いです。

長谷川 麻雀を通して勝負勘が養われたと。

藤田 的確な状況判断ができないと勝てません。毎回勝とうとしても負けますからね。

長谷川 最後に、子どもを起業家に育てたいとしたら、どのようなことをすればいいでしょうか。

藤田 一番いいと思うのは、実際に商売をさせることですね。シンプルな単品通販サイトを運営させる。もちろん手も足も出ないと思うのですが、その中でいかに売り上げるかを徹底的に考え抜くことはとてもいい訓練になると思います。仕入れから値付け、販売、販促など、経営に必要なものが一通り学べます。

長谷川 面白いですね。通販サイト運営の体験ができる教育プログラムがあれば、いい起業家教育ができるかもしれません。自立的に考え、また勝負どころを見極める訓練ができそうです。ありがとうございました。

次回はチームラボの猪子寿之社長にお話を伺う予定です。更新は7月23日予定です。