さあ、いよいよ具体的な商品・サービスをお客様に提示する提案活動に入ります。今ひとつ成果が上がらないという営業マンは、提案活動で具体的に示すべきポイントを明示できていない可能性があります。あらためて確認してみましょう。
前のステップ3でお客様の課題が明確になったので、その改善につながる商品・サービスを提案して、それを具体的にアピールするのが提案活動です。今ひとつ成果が上がらない営業マンは、次の3つのいずれかをお客様に示せていない場合がほとんどですから、リーダーは注意深くフォローしてあげましょう。
1. 買うメリット(投資効果)があるのか
2. なぜ、あなたが提案する商品・サービスがいいのか
3. いま、決定する理由があるのか
この3つをお客様側の“決裁者”に納得してもらえる工夫が必要です。
以下に、くわしく見ていきましょう。
1.買うメリット(投資効果)があるのか
前章のステップ3で、お客様の課題(解決すべき問題)を分析しました。そこで、課題が解決した場合の“投資効果”を数字で計算して「見える化」するのです。
投資については、購入する具体的な製品・サービスの金額が、見積書などに数字で表されていますね。
厄介なのは、効果のほうです。
効果は、具体的に人件費など経費の削減や、社員の生産性の向上による売上高や営業利益率の向上、顧客満足度の向上などをお客様と一緒に考えて積み上げ、たとえば「1億円の売上増と2000万円の経費削減」というように計算します。その根拠も数字でわかりやすく整理します。
逆に、製品・サービスを導入しなかった場合のリスクもあわせて提示できると、説得力が増します。たとえば、競争力の低下、顧客満足度の低下、生産性の低下といったことです。
こうして、「投資」と「効果」が両方とも数字になって初めて、お客様は購入を判断できます。投資効果を「見える化」することで、お客様の納得度が驚くほど向上します。
2.なぜ、あなたが提案する商品・サービスがいいのか
お客様の購買特性は3つに大別できます。この3つの購買特性に合わせて、最適の商品・サービスを提案しましょう。
「課題と解決策の両方を理解しているお客様」には、「価格・品質・納期」の優れた商品やサービスを提案します。
「課題は理解しているが、解決策を導き出せていないお客様」には、部分的にカスタマイズした「顧客ニーズへの合致度」の高い商品やサービスを提案します。
「課題も解決策も理解できていないお客様」には、課題と解決策をつくるコンサルティング力を武器に、商品やサービスを提案するのです。
このように、顧客の購買特性に合わせて、あなたが提案する製品・サービスが最適であることをお客様に理解していただくのです。
いずれにしても、どんな商品・サービスにも、競合する製品やサービス、ソリューションが少なくとも3つ以上はあるものです。つまり、お客様にとって選択肢はいつも3つ以上あるわけです。ですから、その中から選んでもらうためには、明確な理由が必要です。
品質、価格、納期などの面で、あなたの商品・サービスが最適であることを、お客様に理解してもらわなければなりません。
3.いま、決定する理由があるか
投資効果があり、あなたが提案する製品・サービスが最適であることを、お客様にしっかり理解してもらえたら、「いま決定すべき理由」を用意しましょう。
ステップ2で、お客様との間で、いつまでに結論を出すか、合意ができています。ですから、お客様がいつ、その商品・サービスが欲しいのか、という希望期限から逆算してください。たとえば、納期あるいは導入準備が6ヵ月であれば、決裁者に「6ヵ月前のいま、決定をお願いします」と申し入れればいいのです。
提案を開始してから、お客様が結論を出すか否かは、3ヵ月が勝負です。
法人企業は四半期(3ヵ月)で決算、あるいは業績を評価して動いています。つまりお客様は、3ヵ月を1サイクルとして事業を展開しているため、多くの場合、その期間内に投資事案も決裁されます。
お客様側の決裁者が担当者に検討を指示しても3ヵ月以内に結論を出さない場合、社内で決断力がないとみなされかねないため、結論を出すのです。指示された担当者も、検討にかかりきりという場合は少なく、集中して検討できる期間は3ヵ月程度です。