決裁者と会えるところまでいったら、その商談はぜひモノにしたいところです。そこで、その後の商談の展開を予想し、生じうる問題やハプニングに備えるため、自分なりの営業ストーリーをたてておきましょう。必要なポイントを点検しながらストーリーを考えるためのツール「営業計画シート」もご紹介しましょう。
決裁者に会えたら、次は、契約までの営業活動をどのように進めるか、ストーリー(筋書き)をたてていきます。
そもそも、営業は筋書きのあるドラマのようなものです。
あなたが過去に経験した商談案件にも、1件、1件それぞれに違うドラマがあったはずです。営業ストーリーを立てられなかった商談案件は成約にこぎつけられない、という経験も、多くの営業マン、営業リーダーはお持ちでしょう。
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営業の仕事は、脚本家であり、主演と監督もこなす、ひとり3役です。ひとつの映画をつくるように商談案件をどのように契約するか、あなたの営業ストーリーをつくってください。
右の「営業計画シート」(図表2-3)を使えば、情報を整理して仮説をたてながら営業ストーリーに落とし込むことができますので、具体的な記入法について次項で説明していきます。このシートは、いわゆる「営業日報」とは異質なものですが、契約成立まで使いますので作成日以降は更新日を入れながら内容を追加してください。
営業計画シートのチェックポイント
営業計画シートには、7つの項目があります。まずは、確認できている事実を整理していきます。
1. 「活動経緯」
ここでは、「どのように発掘したか」を具体的に書きます。
お客様自身が、あなたの会社のホームページにアクセスされた場合や、電話やメールで問い合わせの場合、また、ほかのお客様や社内からの紹介といった場合は、検討の動機が強い証明になります。あるいは、営業マンが飛び込み営業やテレアポで発掘した場合など、「いつ、誰が、どのような方法で発掘したのか」を具体的に書いてください。特に、「問い合わせ」「紹介」「テレアポ」「飛び込み」を書いておくと、あなたのチームやあなたの商談案件の発掘方法を分析して活動計画を立てるときに役立つことが多いです。
2. 「お客様の動機とBANT」
お客様との面談の内容を、客観的な言葉ーーすなわちBANT(予算、決裁者、必要度、導入時期)に置き換えて書くようにしてください。
ここまでは、確認できた事実です。
これからが、営業ストーリーづくりになります。
お客様に確認して記入できた1. 「活動経緯」と2. 「お客様の動機とBANT」の情報から、次に3. 「提供できる価値」と4. 「競争優位点と訴求ポイント」、そして5. 「提案・契約の問題点」の仮説を立てて、6. 「今後の活動と戦略」をつくります。その後の訪問で、あなたが立てた仮説が違っていたら、3. 〜5. を修正して、あらためて6. 7. を作り直すようにします。
今後どのようにこの商談が進むか、どんな障害が生じうるかを予想して自分なりの仮説をお客様にぶつけることで、「いや、それは違うよ」とか「そうなんだよ、実は…」と、単に「○○について教えて下さい」と尋ねるより、より深い情報をお客様が話しやすくなるメリットがあります。