インターネットから情報を得ようとする場合、ほとんどの人は検索サービスを利用するだろう。たしかに、現在ではこれがインターネット活用の標準的手段であり、それによって目的の情報が得られる場合が多い。
しかし、検索サービスがつねに最善の手段であるとは限らない。経済データに関しては、とくにそうだ。
たとえば、世界各国の一人当たりGDPの過去10年間の推移を調べたいとしよう。この場合、「GDP」や「一人当たりGDP」で検索しても、求めるデータが確実に得られるかどうかはわからない。
もっと特殊なデータの場合には、検索サービスの効率はさらに落ちる。たとえば、主要国の対外資産残高の内訳別時系列データ、国の税収の税目別長期データ、国の一般会計の公債依存度の推移、東証一部上場企業の株式所有者別保有残高の時系列データ、等々である。これらについて調べたい場合、検索サービスでは、なかなか求めるデータにたどり着くことができない(データがあっても現時点のものだけであったり、内訳がなかったりする)。また、日本のデータでなく外国のデータが欲しい場合にも、検索サービスで探し出すのは難しい。
ところが、経済問題を考えるときには、データがどうしても必要になる場合が多い。だから、検索サービスに頼るだけでなく、「データのありか」(どこを探せば目的のデータが得られるか)を知っていることが重要だ。
官庁のウェブサイトは迷宮
ところで、「データのありか」を知るには、「そのデータがあるはずのウェブサイトのアドレス」を知るだけでは不十分である。経済データは官庁のサイトにある場合が多いが、サイトの作り方が適切でなく「迷宮」になってしまっているため、サイト内のどこに情報があるのかがわからない場合が多いからだ。
「迷宮サイト」の典型が、財務省のウェブサイトだ(http://www.mof.go.jp)。たとえば、「国の一般会計の公債依存度の推移」を知りたいとしよう。財務省のトップページを開いたとき、普通の人であれば、「国債等」のボタンをクリックするだろう。