IPOが活性化するイスラエルスタートアップ業界

 2014年に入ってもスタートアップネイションの名の通り、1日1社以上のペースでスタートアップが設立されており、7月末現在ですでに300社以上が誕生している。昨年と同様、今年も600社以上の企業が創業されるだろう。

 スタートアップ企業への上期の投資総額は、半年で約1500億円程度、M&A案件40件以上、総買収額3000億円以上と活況である。イスラエルのイグジット(EXIT)市場の特徴は、大型の案件数件でディール金額の大半を占める傾向があり、この傾向は今年も顕著である。

 まず、買収額200億円以上の案件は、無料通話アプリViber社(登記はキプロスであるが、実質はイスラエルの会社)の楽天による買収、次世代技術「WiGig」を持ったWilocity社のクアルコムによる買収、カテーテル技術のAngioScore社のスペクトラネティックス(Spectranetics)による買収、サイバーセキュリティのCyvera社のパロアルトネットワークスによる買収、オンライン広告技術のKontera社のシンガポールテレコムによる買収がある。この5案件だけで、3000億円の半分程度を占める。

 今年の特徴の1つは、IPOが過去5年でいちばん活性化している点だろう。8月、自動車衝突防止システムのMobileye(日本では、Japan21が代理店)のNASDAQ上場が大きく報道されたが、IT以外の医療系のIPOも盛んである。Galmed Pharmaceuticals(GLMD)社、Lumenis(LMNS)社、MediWound(MDWD)社、MacroCure(MCUR)社、Bio Blast Pharma(ORPN)社、Vascular Biogenics社(VBLX)の計6社が既にIPOしており、M&Aに劣らずこちらも活況を呈している(注:(XXXX)内はNASDAQの上場コード)。

 今年中にさらに数社のIPOが予定されており、このトレンドは今後も続くことが予想される。