大手ハイテク企業のイスラエルでの動き
昨年秋、フェイスブックは、モバイルデータ圧縮アプリのOnavoを買収した。最近、このOnavo出身者によるスタートアップが出始めている。同社でリサーチのトップを務めていたガディ・イリシャヤブ(Gadi Elishayov)氏がSingular社を創業。早速、現地で注目されている。これ以外にも同社出身者で新たに会社を創業する人が出てきており、イスラエルの新たなエコシステムへ加わってきた感がある。
大手の動きとしては、マイクロソフトは6月、エルサレムベンチャーパートナーズ(JVP)と共同で、サイバーセキュリティに特化したアクセラレータを始めると発表。一方、その直後には、「サイバーセキュリティのAoratoを買収か?」と報道されるなど、アクセラレータとM&Aの両面で攻めてきている。なお、今年初め、シスコシステムズもサイバーセキュリティ分野への投資を宣言している。
IBMは史上初のアクセラレータプログラムをキックオフ、2年前にイスラエルから撤退したNokia Networksは、NICE Systemsの3Dモデリング技術部門を買収することでイノベーションセンターを設立しイスラエルへ再進出、またジョンソン&ジョンソンなどがイノベーションに関する新たな取組みを発表している。
今年イスラエルにR&Dを設立した主な企業は、サービス管理ソフトウェアソリューションのAstea、医療機器のCaesarea Medical Electronics、セキュリティ新興企業Palantirなど。ロシアの検索エンジン最大手Yandex(本社:オランダ)は、Kitlocate社を買収することで新たにR&Dの拠点を設けている。
今年2月楽天のViber買収により、イスラエル現地で日本企業でも100億円以上の買収を行うと印象付けたことは、大きな効果であろう。「Rakuten Ventures、運用資産額1億米ドルのグローバル・ファンドを組成」のニュース発表の際に「イスラエル」を冒頭に持ってきたことも、同社なりのメッセージで、現地では好意的に受け止められている。
今後の日イ間の経済交流を考える上で、楽天の功績は大きなものであろう。