日本で初めて「日本経営品質賞」を二度受賞、12年連続増収増益中の株式会社武蔵野社長でありながら、指導500社中100社が過去最高益、13年連続倒産企業ゼロという“経営のカリスマ”である小山昇氏。『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 を発売直後の著者に、「朝一番の掃除を定着させる仕組み」について聞いてみた。
社員のやる気は、
「お金」で釣るのが正しい
武蔵野では、「一人年間300時間」の社員教育をしています。
社員教育のための予算は、「年間1億円」です。
もちろん、自発的に勉強をする殊勝な社員はいませんから、強制的に勉強をさせています。
「強制的」と言うと、「非人道的だ」とか「社員から文句が出そうだ」と言って、ためらう社長がいます。
でも、どうして、「会社にとっていいこと」をするのにためらうのですか?
社員を強制的に勉強させている会社は、業績がよい。
逆に、社員の自発性に任せすぎる会社は業績が悪い。これが、私が500社以上経営指導してきた実感です。
「悪いこと」は教えなくてもやります。しかし「よいこと」はやらない。それがまともな社員です。だから社長は、「よいこと」を強制しなければなりません。
私がいくら「頑張れ」と口酸っぱく言ったところで、武蔵野の社員は動かない。
「これはあなたにとって大切なことだから、やりなさい」と言っても、「はい」と返事をするだけ。社員の「はい」は「聞こえました」という意味で、「やります」ではない。
では、どうしたら社員は頑張るのか。
「お金」で釣ればいい。
「これをやったら、あなたに1000円あげるから、やりなさい」
「これをやらないと、賞与が低くなってしまうよ。それが嫌ならやりなさい」
社員にとって愛はお金。誤解を恐れずに言えば、社員のやる気は「お金」で決まります。
「本当はやりたくないけど、1000円もらえるなら、我慢してやる」
これが人間の心理です。
教育を会社内で義務化すれば、社員はそこに時間をさくわけですから、報酬が発生するのは当然のことです。
社長は「お金を払っているからこそ、参加を強制できる」わけです。
その結果として従業員の質が向上して、会社の利益に還元されるのであれば、投資コストとして悪くありません。