実際の条文で「等」の使い方を見てみよう

「等」の使い方で意味の幅が出てくることがおわかりいただけたでしょうか。それでは、実際の条文で「等」の広がりを味わってみましょう。これは先ほどの「麻薬及び向精神薬取締法」第1条です。よく見ると「等」が3カ所、使われています。

○麻薬及び向精神薬取締法
(目的)
第1条 この法律は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

 これらの「等」がどのような広がりを示したものなのか、正解は「麻薬及び向精神薬取締法」の条文のなかにあります。
 最初の「等」についてですが、次の12条を見ると答えがわかります。「小分け、譲受け、交付、施用、所持、廃棄」をも禁止しているので、これらの行為を「等」に含めているようです。

(禁止行為)
第12条 ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。(以下、略)。
2~4略

 2つ目の「麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置」の「等」は、条文のなかから、医療以外に麻薬中毒者に行われる措置を探し出せばいいでしょう。次のような措置はそれに当たります。

(行動の制限)
第58条の10 麻薬中毒者医療施設の管理者は、措置入院者につき、その医療に欠くことのできない限度において、その行動について必要な制限を行なうことができる。

(所持品の保管)
第58条の11 都道府県知事は、措置入院者の所持品中にその者に対する医療の妨げとなる物があるときは、その者の入院中、当該職員をして、これを保管させることができる。

 3つ目の「等」は、医療を行うことや、上の58条の10や58条の11に示された措置以外に「麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止」するために行われるものを示しています。麻薬や向精神薬に関する様々な届出制度はそのひとつでしょう。そうした規定をひとつ挙げておきましょう。