いよいよ年の瀬。書店や文房具店にはたくさんの手帳が並んでいる。毎年何を選ぶか悩まれている方も多いのではないだろうか。立命館小学校の陰山英男氏は「時間管理がしやすい手帳を使うことで、集中しやすくなり、少ない時間で大きな成果が上がるようになる」という。成果が上がりやすい手帳について詳しく説明する。

時間の使い方次第で
脳の働きが大きく異なる?

陰山英男(かげやま・ひでお)
1958年生まれ。岡山大学法学部卒。兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習で基礎学力の向上を目指す「陰山メソッド」を確立し脚光を浴びる。2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。現在は立命館大学教育開発推進機構教授(立命館小学校校長顧問兼任)。

「人は1日24時間、1年365日を平等に与えられている以上、仕事の成果は時間の使い方に左右される」。そう考えてきた私は、時間を効率的に使うよう子ども達に指導してきた。

 しかし最近、時間の使い方にはもう少し深い意味があることに気づいた。時間の使い方によって、脳の働きが大きく異なるというのだ。子どもの勉強を例にして説明しよう。

 子どもの脳を鍛えたいのなら、集中することを覚えさせればいい。「集中する」とは「脳がよく働く状態」のことだからだ。そして、集中することを習得させるには勉強が最適のトレーニング方法なのである。よく学校で「成績を上げるために集中して勉強する」という人がいるが、実は「集中できるようになるために勉強する」ほうが、脳にとっては正しいと考えた方が適切だ。

 ここに、ダラダラ分数の勉強をしている子どもがいるとする。普通、この子どもは分数を学習しているように見える。しかし、脳について考えてみると、彼が学んでいるのは分数ではなく「ダラダラすること」だ。「集中=脳をよく働かせる」トレーニングのはずが、「脳をダラダラ働かせる」トレーニングになっている。これでは学習をやらない方がいい。

 実際、様々なデータを調べてみると、学習時間と学習成績との間にはそれほど緊密な関連性はない。重要なのは、最大限集中をしているかどうかなのだ。