1歳の子でも、味はしっかりわかる
ただ子どもに食欲がないというのではなく、なぜそうなるのかというところにいかないといけないということですね。
食べ物ぐらい体にぴんと伝わるものはありませんから、やっぱりおいしくつくることが大事なんですね。
1歳の子であっても味はしっかりと覚えていますよ。好きなものは食べるけれど、きらいなものは食べない。離乳食を食べ始めたばかりの赤ちゃんでも、おいしくできていないものは舌で押し出します。味をしっかりとわかっているんですね。
あるとき、離乳期のお母さんに「これから忙しくなるね」と言ったら、「全部売っているんだから大丈夫」と言って瓶詰めになった離乳食を見せてくれました。
でも、買った離乳食で育つのとお母さんがつくった離乳食で育つのでは赤ちゃんは違ってきます。
ごはんで育った赤ちゃんはたくましい感じになります。だからお母さんは離乳食からおいしくつくってあげてほしい。お母さんがわかってやっていると、赤ちゃんはわかってすくすく育ちますよ。
なかなかそういったことを大人のほうで素直に受け入れられないことが多いですよ。
「子どもに好き嫌いが多い」「わたしは忙しくてできない」と言っていれば、いつまでもできません。
食材を最大限生かす3つの視点
でも、お母さんが素直に受けて、そのようにやれば変わってきます。変わってきたときに家の空気も変わってくるのです。
「好き嫌いがある」というのは、よく出てくる質問ですが、そこでわたしが「おいしくできていますか?」と聞くと、「できていない」って。周りと顔を見合わせてくすくす笑っているんですね。
おいしくつくるには特別な素材を取り寄せてやるのではなく、まず旬のもの、新鮮なもの、その土地でできた食材を選ぶことが大切。
3点をもとにして、その食材が生かされるように調理するとおいしくできます。
「忙しくて時間をかけて料理ができない」というのは働く人によくある問題ですが、忙しいときは、前もって準備しておくといいんです。
そのときに食べるものを、そのときつくるのは難しいので、あらかじめ野菜をゆがいたり、魚に味をつけたりしておくと、あとの段取りが断然違ってきます。
煮物やつくだ煮などの常備菜が冷蔵庫にあると、それをまず出して、それからつくってというふうにできますよ。
忙しいということにとらわれず、その中から何ができるだろうかと考えると何かが見つかります。