1995年公開、龍村仁監督『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』でその活躍が世界中で注目された佐藤初女氏。海外からの講演依頼も多数。現在も精力的に講演活動中だ。
その初女さんが93歳の集大成書籍『限りなく透明に凜として生きる―「日本のマザー・テレサ」が明かす幸せの光―』を発刊(本記事巻末に購入者限定特典告知あり)。
4月17日のめぐろパーシモンホールでの出版記念講演会(1200名)も大盛況だったとか。
話を聞いてもらうだけで楽になる、つい何でも話したくなるという、初女さんの「聞き方」を紹介する。

とことん聞いても、答えは出さない


佐藤初女(さとう・はつめ)1921年青森県生まれ。1992年、岩木山麓に『森のイスキア』を開く。病気や苦しみなど、様々な悩みを抱える人々の心に耳を傾け、「日本のマザー・テレサ」とも呼ばれる。1995年に公開された龍村仁監督の映画『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』で活動が全世界で紹介され、国内外でも精力的に講演会を行う。アメリカ国際ソロプチミスト協会賞 国際ソロプチミスト女性ボランティア賞、第48回東奥賞受賞。2013年11月の「世界の平和を祈る祭典 in 日本平」でキリスト教代表で登壇。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王と初対面。その際、おむすびをふるまう。『おむすびの祈り』『朝一番のおいしいにおい』など著書多数。(撮影:岸圭子)

 岩木山麓の『森のイスキア』を訪れる人の多くが悩みや問題を抱え、助けを求めています。

 わたしは相談にこられた方とは、まず視線を合わせて、その人が話していることをそのまま聞けるようにします。
 そして、こちらの心の中にあるものを空っぽにして、自分の体験と置きかえながら話を聞きます。
 「心を空っぽにする」とはどういうことかというと、自分の考えや思いを一切なくして透明になるということです。
 そして、その人の話を聞きながら「こうすればいい」とこちらの考えを持たないで、話を全部受け入れるようにします。
 こちらからはお答えは出しません。

 どなたにしても人の命。生活は深いものです。つい答えを出したくなりますが、答えは出さなくてもいいと思うのです。

 いい答えを出そうと思ったらダメ。こられる方が1年なり2年なり考え続けてきた問題をわたしが聞いて、その場で解決することはできません。

 それよりは相手のほうを受け入れたほうが、ずっといいと思うんですね。

 こちらの心を空っぽにして、ひたすらその人の話を聞いていると、話す人は自分の話を受け入れてくれたと思って安心するんです。

 そうして信頼感が出てくると、前よりも深いところが出てきて、はっきりと考えを出します。素直になっていると気づきというのは見えてきますからね。
 そこまで出たら食事を出して、一緒に食べます。そこまでいかないうちは素直に食べられませんね。