古本やロウソクの臭いといわれる加齢臭。発生原因は加齢にあるが、メタボ要因となる生活習慣が後押しする点には留意したい。

 「男性患者の比率が少しずつ増えている。10年前までは男性3に対して女性7だったが、今は4対6くらいまでになった」と言うのは、体臭に関連する疾病を主に治療する五味クリニック院長の五味常明氏。

 増加傾向にあるのは、「加齢臭が漂っている感じで、周囲の人に迷惑をかけているようなのだが……」と相談に来る中年男性だ。

 メディアでしばしば取り上げられ、世の中の認知度は高いが、そもそも加齢臭とは何か。

 じつはこれ、化粧品会社の資生堂などによる造語である。古本やロウソクの臭いと表現されるが、臭いのもとは「ノネナール」と呼ばれる物質で、発生原理は字のごとく「加齢」にある。

 人の体には、皮膚に潤いを保つ皮脂を分泌する皮脂腺がある。年をとるにつれ、この皮脂腺内にパルミトオレイン酸と呼ばれる脂肪酸と、過酸化脂質が増加する。両者が結び付き、分解・酸化されてノネナール(加齢臭)が発生する。

加齢臭発生の仕組み そして、この発生を後押しするのがメタボに通じる生活習慣。肉料理や脂っこい料理ばかり取る食生活を続けていると、「血管内にコレステロールが増加するのと同様に、皮脂腺に脂肪分が増える。分解される脂肪分が増えれば当然、ノネナールの発生量も増加する」(五味氏)。