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デジタルビジネスの勝ち方

CIOは社内プレゼンス低下の危機に直面している

ガートナー ジャパン
【第6回】 2015年6月1日
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CIOへの期待はシステム安定運用のみ?
社内でのプレゼンス低下の危機

 CIOの立場は非常に微妙であることが多い。

 昨年、日本の経営職約100人に調査を行った。その中で「IT部門へ求めること」という質問をしたのだが、一番多かった回答は「既存システムを安定的に稼働させること」だった。つまり、IT部門はイノベーティブなことをしたいと望むかもしれないが、まずは既存システムをしっかり維持させる力がなければ、社内の賛同は得られないということだ。

 IT部門が本当はやりたいイノベーティブな改革、たとえばIoT(モノのインターネット)や、モバイル・テクノロジーを活用して新しい顧客体験価値を創出する、というようなプロジェクトについては、多くのCEOが「現場(ビジネス部門)主導でやればいい」と考えているようだ。技術革新が進み、ITの専門知識のないビジネス部門でも比較的簡単にITを活用できるようになったことも大きい。

 自動車は今や、コンピューティング・デバイスに近い。コーヒーメーカーにはセンサーがついていて、好みに合わせて温度や濃度を変えられる商品が出ている。

 フロリダにあるディズニーワールドのマジックバンド(クレジットカードなどの情報が埋め込まれたリストバンド。ホテルのルームキー、駐車場のパークチケット、ファストパスなどの機能が集約されている)もIoTによる新しいサービスだ。P&Gは色んなアイデアを外部から集めて商品開発に生かしている。そのオープン・イノベーションに貢献しているのもやはりITだ。

 デジタル・テクノロジーを駆使した、いわゆる「デジタルビジネス」にCIOはもっと主体的に関与できる。「われわれの範疇ではない」と考えている人も多いかもしれないが、今後その考えはCIOにとって社内でのプレゼンスを自ら狭めるリスクとなるだろう。

 もちろん一方で、既存システムの安定運用は求められているから、人的資源の多くはここに割かざるを得ない。大きなジレンマがあることも事実だ。

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