「自信喪失」の電力会社社員急増の今、
原発テロを防げるのか?
ところが、操縦室に誰も入れないようにした結果、今年3月にドイツのジャーマン・ウィングスで、副操縦士によるトンデモナイ墜落事件を招いたのだ。
そこでこの事件後、コックピットは常時二人にするようになったが、それで安心できるのだろうか?
常時二人にしても、操縦士と副操縦士が示し合わせて行動すれば、やはりこの種の“精神状態がおかしくなった人間”のテロ行為を防ぐことは不可能である。簡単に起こるだろう。
では、原発でも同じことが起こらないと、誰が言えるのだろうか?
電力会社の社員がすべて正常であると、誰が言えるのだろうか?
まして外部からのテロには、まったく打つ手がないはずだ。
というのは、今や「高速増殖炉もんじゅ」の運転会社である日本原子力研究開発機構では、社員が自信をまったく喪失していると報道されている。
電力会社の社員も同じである。
フクシマ原発事故前には、原発担当者の働く意欲と誇りがあったが、今やそれが社内で急激に失われている。何があってもおかしくないのだ。
そこに今、東海道新幹線で、油をかぶって焼身自殺する人間まで出てきた時代だ。
スリーマイル島大事故12日前に公開された
『チャイナ・シンドローム』の教訓
そうした「原発テロ」を予告する映画があったことを思い出す。それは原発の大事故がどのようにして起こるかを描いた迫真の映画『チャイナ・シンドローム』である。
ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラスの3大スターが主演して、1979年3月16日に全米で公開された名作である。
勿論、この映画の事故シナリオは、想像上のストーリーであった。
ところが、この映画公開からわずか12日後……3月28日にスリーマイル島原発2号機で、本当にメルトダウン事故が起こったのである。人類史上初めてという原発の大事故であった。
川内原発と同じタイプの加圧水型と呼ばれるスリーマイル島原発では、制御棒を突っ込んで核分裂を止めてから、燃料棒が溶け落ちる史上最悪のメルトダウン事故を起こしたのである。
事故発生の翌々日、3月30日には、原発周辺8キロメートル以内の幼児と妊婦に避難勧告が出され、10万人以上の住民が避難しなければならなかった。
そして大爆発を防ぐために、大量の放射能を放出させて、かろうじて爆発を食い止めたが、その放射能によって、風下地帯の住民には大量の癌と白血病が発症した。