中国共産党は、結党からすでに94年が経った。「人民に奉仕する」という結党の精神は、毛沢東、周恩来ら第一世代が健在のときは生きていたが、下の世代になると薄らいでいき、大衆路線から遊離するようなこともあった。
2012年に発足した習近平指導部は大衆路線運動や一連の腐敗撲滅運動によって革命第一世代の良き伝統を取り戻そうとしている。経済面では改革開放路線をさらに深めるべく、市場経済の役割をより重視した改革を推し進めている。政治面では、これまでの「不作為(職務不履行)」の状態を改めるべく、腐敗に染まっている者を排除するなどして党の引き締めを行い、「自浄作用」を働かそうとしている。
習近平指導部が目指す政治改革の本質がどこにあるのか、分析を試みてみたい。
欧米の政治制度を批判し
共産党を礼賛した雑誌論文
中国共産党結党記念日である7月1日、共産党の公式刊行物である『求是』誌上に「変化の激しい世の中で英雄の真面目を示す―中国共産党はなぜ指導の中核となり得たのか―」と題した論考が掲載された。内容としては、欧米の政党政治に疑問を投げかけ、それが万能でないとしたうえで、中国共産党の政治モデルは中国の国情に合致しているとの主張だ。
この論考のポイントを簡単に紹介しよう。第一の主張は、中国共産党の執政能力の高さである。中国が世界第2位の経済大国になったのは、中国共産党が民族の解放を成し遂げただけでなく、13億人もの人民を適切に指導したからにほかならず、現在の成果は、中国共産党の執政能力が適切だったことを証明しているという。
第二に、欧米の政党政治は完全なものではなく、一定の限界があり、中国の政治制度こそが国情に適った制度だという主張である。欧米の政党政治は政権を取るまでは人々の支持を得ようと努力するが、その後は公約を守らず、人々を失望させる特徴があるという。また、欧米の政党政治の下では、ある政党は特定の集団の利益を代表しており、選挙のときは政策の恩恵が支持者に偏る傾向を指摘している。
対して中国共産党はすべての人民の利益を代表することをモットーとしており、同党が指導する政治体制のもとでは、自らの理念を徹底させることができ、欧米の政党政治のように一定の階層の利益のみを代表することはないと結論付けている。