スピードが速ければ速いほど、発想の質は高まる

「ビジネスはスピードである」と言われる場合、通常は企画立案・戦略策定からその実行までのタイムラインが念頭に置かれている。
実行の遅さの結果として起きる敗北は、決して珍しいものではない。

一流の人ほど自分の「嗅覚」を疑い、三流の人ほど「ひらめき」に賭ける

これに対して、X社の「しまった」は、発想の遅さに起因している。

両社に与えられた時間は同じ2週間だったはずだ。ということは、X社は「0.21企画/日」のスピードで発想していたのに対し、Y社の発想スピードはその3倍「0.64企画/日」だったということになる。

このように、アイデアの発想スピードが遅いと、同期間内に提出されるアイデアの総量が少なくなり、結果としてアイデアの質は低下する。
アイデアの質を高めたければ、発想を広げ、発想の総量を増やすことが重要なのだ。
つまり、ここでも「ビジネスはスピードである」という定式が成立するのである。

だが、「発想のスピードが大切だ」という話をすると、こんなことを言う人がいる。

「スピード大事ですけど、やっぱりアイデアは質大切ですよね」

これが一般的なイメージだろう。
つまり、アイデアの質とそれを生み出すのにかかる時間の長さは(少なくとも一定範囲においては)正比例しており、いいアイデアを出すためなら、多少時間がかかっても仕方がない、と考えられているのだ。

しかしこれは正しくない。前述のとおり、「発想のスピードを上げること」とは「発想の質を高めること」に直結するのである。