2015年10月21日、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンが走るお台場のイベントは、1本の「アポなし電話」から始まった!?
いったいなぜ、米国ユニバーサル本社は小さなベンチャー日本環境設計に「公認」を与えたのか? 岩元社長の著書『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』から、その勝因となった、消費者がワクワクして思わず参加したくなる〈ブランド〉づくりの秘密、そして「歓喜の瞬間」をご紹介する。
消費者が「思わず参加したくなる」ブランドをつくる
当社は、綿からバイオエタノールをつくる技術を事業化する方向性として、法人ではなく消費者から衣料品を回収することにこだわりました。
消費者が、自分の意志でリサイクルに参加する――。この「消費者参加型」のリサイクルによって、本当の意味での「循環型社会」をつくることを目指していました。
〈技術〉だけでも〈しくみ〉だけでも、「循環型社会」はつくれない。この両者に、消費者の行動が重なってこそ、社会を変えていける。新しい社会をつくっていける。
そういう信念で「FUKU‐FUKU」を立ち上げ、その思いは変わることはありません。
消費者の心を動かすために、重要なのが〈ブランド〉の力です。
どうすればリサイクルが〈ブランド〉になりうるのか――。それをとことん考え抜いてたどり着いたのが、消費者が共感できる、わかりやすい〈しくみ〉をつくり上げることです。
使わなくなった服を集めて、クルマを走らせよう。ジェット機を飛ばそう。
使わなくなった服を集めて、オリンピックのユニフォームをつくろう。
そういうわかりやすいストーリーを組み立て、消費者が自分の意志で「参加したい」と思えるようにするには、消費者の身近なところに「回収ボックス」をつくるしかない。だから、消費者の生活動線の中にある、小売店の店頭で回収する〈しくみ〉をつくることにこだわったのです。
この〈しくみ〉のうえに、シンプルで覚えやすくて意味のある名前をつけ、親しみやすく印象に残るキャラクターをデザインする。消費者の目に触れるイベントを企画する。
この総体こそが〈ブランド〉の実体であり、〈しくみ〉があってこそ、〈ブランド〉は力を持つ。〈ブランド〉とは、そういうものではないかと思うのです。
これまで、「FUKU‐FUKU」には、非常に多くの消費者が参加してくれました。まだまだ参加者を増やしていく必要がありますが、たくさんの消費者の思いが集まれば、社会を変える力にもなります。私たちが「消費者参加型」にこだわったのは、まさしくそのためです。