2015年10月21日、世界に「ハチマーク」が羽ばたく

 私は、日本環境設計を創業した当初から、「2015年10月21日」を意識していました。

 ごみで走るクルマ「デロリアン」を映画に登場させた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの制作陣は、「循環型社会」の到来を思い描いていたに違いない。そう思って、「2015年10月21日」までに、現実を映画に追いつかせたいと、かねがね考えていたのでした。

 そしてもし日本人の手で、デロリアンを走らせることができれば、それは世界に向けて大きなメッセージを発信することにつながるはずだ、そうも考えていました。真の循環型社会の旗手として、「ハチマーク」のブランドが世界的に光り輝くのです。

 そうした想いは、ことあるごとに、専務の高尾にも伝えていました

「2015年10月21日に、デロリアンを走らせることができたらオモロイやろなぁ。高尾くんもそう思わへん?」

 けれども長いあいだ、高尾はこの発言にまともに取りあってくれませんでした。

 高尾の反応が変わりはじめたのは、2015年に入った頃。創業前から10年近く「デロリアン」「デロリアン」と言われつづけて、いよいよ根負まけした――そんな表情で了承してくれました。

 会社のプロジェクトとして正式にスタートしたものの、あちこち当たってみても、どうにも反応が鈍い。このままでは、とても公認を得られない。そう思って最後の手段でアプローチしたのが、ユニバーサル・スタジオ本社への「代表電話」。アメリカの本社に、直接電話をしたのです

 結果は――。

「すばらしい。ぜひ協力させてくれ」

 こうして無事得られた「ユニバーサル・スタジオ本社の公認」は、これまで応援してくれたたくさんの企業はもちろん、参加を検討してくれていた企業の背中を押してもくれました。

 日に日に迫る「2015年10月21日」は、それこそタイムトラベルでもできるようにならない限り、一度しかやってはきません。その日に、「循環型社会」に向かう一員として名を連ねるのか、その動きを傍観者として眺めるのか、企業にとっては大きな分かれ目になります。

「すごいイベントですね! ぜひ、一緒にやりたいです」

 公認後は、そんな声が次々と飛び出しました。具体的でワクワクする夢を共有できたことで、一緒に走りだしてくれる賛同者が一気に増えていきました。

2015年10月21日、16時29分。〈技術〉と〈しくみ〉と〈ブランド〉でデロリアンを走らせた岩元氏は、30年前に観た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で抱いた夢を見事かなえました。この連載では紹介しきれなかったさらに進化した技術、しくみづくりのアイデアなどは、発売中の『「捨てない未来」はこのビジネスから生まれる』をぜひご覧ください!(了)