もっともっと多くの海外の人々に
日本の食とお酒を楽しんでもらいたい

赤塚 それにしても、今や獺祭は海外でも人気ですね。

桜井 ありがたいことです。先日11月4日にもニューヨークで、「獺祭の会」を催したところ、90ドルの会費制にもかかわらず150名にのぼるお客さまに参加していただきキャンセル待ちも出るほど大盛況でした。ニューヨークの方たちがここまで獺祭を求めてくれることに驚いたのと同時に、まだまだ海外に獺祭を広めていける可能性があるという手応えを感じました。

赤塚 柿安本店も、いずれは海外に出てみたいと考えています。5〜10月に開催されたミラノ万博(ミラノ国際博覧会)では、若手中心のプロジェクトを組んですき焼の店を出しました。これが大評判だったうえ、現地のお客さまから「ぜひとも牛丼を作ってほしい」というオーダーが入ったんです。結局、1杯3500円という世界一高い牛丼をお出ししたところ(笑)、非常に好評でした。

桜井 料理は海外の方向けに味を変えることもあるのですか。

「美味しいという基準は、案外世界で共通している」と両社長

赤塚 いえ、ミラノ万博では、国内の柿安各店で提供しているものとまったく同じ味付けで提供しました。実際にお召し上がりになった海外のお客さまからも高い評価をいただきました。ただ、海外のお客さまは、すき焼に欠かせない生卵に抵抗を感じることが多いので、それだけは温泉卵に代えましたね。

桜井 私たちの場合も、国内で販売する獺祭とまったく同じものを海外でも提供しています。美味しいという基準は、案外、共通しているものですよね。でも、それだけ手応えをお感じであれば、海外進出も近いのかな?

赤塚 そうですね、将来はぜひ出て行きたいです。でも、その前に国内でチャレンジしてみたいことがいろいろとあります。そのひとつが、銀座にもう一店舗、新たなフラッグシップとなる店を出すこと。2020年の東京オリンピックに向けて、海外からお越しになるお客さまにももっと柿安の味を知っていただきたいという思いからです。「GINZAでBEEF」と言えば、すぐに「KAKIYASU」と連想してもらえるようになれば嬉しいです。

桜井 それは楽しみですね。開店されたら是非とも伺います。今日はありがとうございました。

赤塚 こちらこそ、ありがとうございました!